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人喰いバクテリアとは?STSSの症状・感染経路と2026年7月までの動向を徹底解説

土屋 澪 土屋 澪 • 更新: • 公開: • 読了約 23 分
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「人喰いバクテリア」と呼ばれる感染症をご存じだろうか。正式名称は劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS:Streptococcal Toxic Shock Syndrome)。一般的な溶連菌感染症とは異なり、突然の発熱や手足の激しい痛み、腫れなどから始まり、短時間で敗血症性ショックや多臓器不全に進行することがある重篤な感染症だ。国立健康危機管理研究機構(JIHS)によると、致命率は30~40%とされている。

2026年の最新公表資料では、2022年1月1日から2026年7月31日までに国内で届け出られたSTSSは累計5,724例に達した。原因菌はA群だけではなく、B群やG群など複数の溶血性レンサ球菌が関係している。なぜ急速に重症化するのか、通常の溶連菌感染症とは何が違うのか。厚生労働省とJIHSの公的資料を基に、感染動向、初期症状、感染経路、治療法、予防策を詳しく解説する。

【病気の正体】人喰いバクテリアとは?普通の溶連菌感染症との違い

人喰いバクテリア
人喰いバクテリアの正式名称はSTSS

人喰いバクテリアとは、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)を指す報道上の呼び名だ。文字どおり人間の肉を食べる細菌という意味ではない。

原因となるのは、溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌のうち、毒素を産生する特定の菌株などである。これらが血液や通常は細菌が存在しない臓器などに侵入すると、重篤な感染症を引き起こすことがある。

特徴は、感染症としての進行速度が非常に速いことだ。発症から数十時間以内にショック状態や多臓器不全に陥る場合があり、早期に医療機関で対応する必要がある。

また、皮膚や皮下組織、筋膜などに感染が広がり、壊死性筋膜炎を引き起こすケースもある。こうした組織の壊死が「人喰い」という強い呼称につながっている。

一般的な溶連菌感染症とSTSSは何が違う?

通常の溶連菌感染症でよく知られているのは、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎だ。発熱や喉の痛み、扁桃の腫れなどが主な症状で、適切な抗菌薬治療によって改善するケースが多い。

一方、STSSは菌が通常無菌である体内の部位に侵入し、全身性の重篤な感染症を引き起こした状態である。同じレンサ球菌が関係していても、病気の成立や重症度は大きく異なる。

ここで押さえておきたいのは、一般的な溶連菌感染症にかかった人が必ずSTSSになるわけではないという点だ。通常の咽頭炎とSTSSを同一視することはできない。

比較項目 一般的な溶連菌感染症 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
主な原因菌 A群溶血性レンサ球菌 A群・B群・C群・G群など
主な感染・発症部位 咽頭、扁桃など 皮膚、軟部組織、血液など
主な症状 喉の痛み、発熱、扁桃の腫れ 激しい四肢の痛み、腫れ、発熱、血圧低下
重症度 多くは適切な治療で改善 敗血症性ショックや多臓器不全に進行することがある
治療 抗菌薬など 緊急の抗菌薬治療、必要に応じた手術、集中治療
感染症法上の扱い 疾患に応じた届出・定点把握 5類感染症・全数把握対象

なお、一般的な溶連菌感染症がSTSSに変化する単純な一本道があるわけではない。STSSは独立した重篤な臨床病態として理解する必要がある。

【2026年最新】2022年~2026年7月の人喰いバクテリア届出動向

2026年7月末までの累計は5,724例

国立健康危機管理研究機構(JIHS)が2026年9月18日に更新した「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)届出の動向」によると、2022年1月1日から2026年7月31日までに診断された症例は、5,724例だった。

この集計は2026年8月14日現在の情報に基づく。したがって、5,724例は2026年だけの患者数ではなく、2022年から2026年7月までの累計である。

同資料の血清群別集計では、A群が2,613例、B群が923例、G群が1,771例となった。血清群が不明、その他、C群、複数の血清群などに分類された417例は、この3群の内訳から除外されている。

2022年から2026年までの主な変化

STSSは新型コロナウイルス感染症の流行期にいったん減少したものの、2023年以降に再び増加した。2024年には大きな増加が確認され、その後も報告は続いている。

時期 届出状況・数値 注目すべき動向
2022年 COVID-19流行期の減少傾向が続く 2020~2022年は年600~700例程度の水準で推移したとJIHSの疫学資料が整理。
2023年 941人(厚労省公表の速報値) 前年までの減少傾向から増加に転じ、過去最多を更新。
2024年 1,888件(厚労省公表の速報値) 1999年の統計開始以降、最多。1月には月間244例の届出を記録。
2025年 全国累計1,382例(第52週までの速報データ) 2024年の大幅な増加後も、相当数の届出が続いた。
2026年1~7月 2022年1月~2026年7月の累計5,724例 2026年も毎月届出があり、月別推移はおおむね90~156例の範囲。
A群 2,613例 3群の中で最多。届出時の年齢中央値は66歳。
B群 923例 届出時の年齢中央値は76歳。
G群 1,771例 届出時の年齢中央値は82歳。

※年次の数値は、速報値、診断日による集計、週報の集計などで異なる場合がある。例えば、2023年は厚生労働省のQ&Aで941人とされた一方、JIHSの診断日ベースの資料では暫定値949例とされている。2024年も厚生労働省の速報値1,888件に対し、JIHSの後続の疫学資料では1,905例と報告されている。集計時点や集計方法をそろえずに単純比較することはできない。

2024年に急増した背景は何か

厚生労働省は、STSSの増加理由について、すべてが明らかになっているわけではないと説明している。

一つの可能性として挙げられているのが、新型コロナウイルス感染症の対策緩和後に、呼吸器感染症全般が増加したことだ。2023年秋以降にはA群溶血性レンサ球菌による咽頭炎も増加しており、STSSの届出増加に関係した可能性が指摘されている。

ただし、咽頭炎の流行とSTSSの増加が同じ原因だけで説明できるわけではない。細菌の性質、感染者の年齢構成、感染機会、医療機関での診断・届出など、複数の要素を考慮する必要がある。

重要なのは、2026年7月時点でもSTSSが過去の一時的な流行だけで終わった感染症ではないということだ。

【初期症状】手足の激痛・腫れ・発熱は危険信号?

最初に現れやすい症状

STSSの初期症状は、必ずしも典型的な感染症の症状だけではない。JIHSや厚生労働省が挙げている主な症状は次のとおりだ。

  • 四肢の強い痛み:腕や足に突然、強い痛みが生じる。
  • 腫れ:手足やその周囲の皮膚・軟部組織が腫れる。
  • 発熱:急な高熱や悪寒を伴うことがある。
  • 血圧低下:血圧が下がり、ショック状態につながることがある。
  • 筋肉痛・倦怠感:全身の強いだるさや筋肉痛が現れる。
  • 消化器症状:吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振などが起こることがある。
  • 咽頭痛:喉の痛みなど、通常の溶連菌感染症に似た症状が出る場合もある。

特に注意したいのは、痛みの強さと皮膚の見た目が一致しない場合があることだ。

JIHSの診療資料では、局所の痛みが皮膚に明らかな感染徴候が現れる12~24時間前に先行する場合があると説明されている。また、初期段階で表面的な細菌の侵入口や明確な皮膚感染の所見が確認できない症例も約50%あるとされる。

つまり、目立った傷や皮膚の変色がないからといって、重篤な感染症を否定することはできない。

発症後、どれくらいの速さで重症化する?

STSSの特徴は、症状が短時間で進行することにある。

初期には発熱や局所の痛み、腫れなどがみられ、その後、組織の壊死や循環不全、呼吸不全などが進行する場合がある。JIHSの診療資料では、発症から24時間以内に軟部組織の病変や多臓器不全へ進展する可能性が示されている。

また、厚生労働省も、場合によっては数時間で全身状態が悪化すると注意喚起している。

腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まることが多く、その後、組織が壊死し、呼吸状態の悪化・肝不全・腎不全などの多臓器不全を来たし、場合によっては数時間で全身状態が悪化します。

これは厚生労働省のSTSSに関する説明に基づくものだ。

こんな症状があれば、すぐに救急受診を

次のような症状が重なっている場合は、様子を見続けず、緊急に医療機関で評価を受ける必要がある。

  • 手足に突然、非常に強い痛みが生じた。
  • 痛みのある部分が急速に腫れてきた。
  • 発熱や悪寒とともに、全身状態が急速に悪化している。
  • 意識がもうろうとする、冷や汗が出る、立てないなどの症状がある。
  • 呼吸が苦しい、反応が鈍いなどの異常がある。

特に激しい局所痛と急速な腫れ、発熱が同時にみられる場合は注意が必要だ。意識障害や呼吸困難、ショックが疑われる症状がある場合は119番で救急車を要請する。自宅で症状の進行を確認するために待つことは避けたい。

STSSは初期に特徴的な皮膚症状が見えないこともある。症状の強さや進行速度を重視し、医療機関に急激な痛みや腫れが始まった時刻、発熱の経過などを伝えることが役立つ。

【原因菌・感染経路】A群だけではない?傷口や接触感染との関係

原因菌はA群・B群・C群・G群など

STSSの原因菌として特に知られているのがA群溶血性レンサ球菌だ。しかし、A群だけが原因ではない。

JIHSの2026年9月更新資料では、A群、B群、C群、G群など、β溶血性を示すレンサ球菌が原因となることが説明されている。

代表的な菌と特徴は次のとおりだ。

  • A群溶血性レンサ球菌(GAS):主にStreptococcus pyogenes。急性咽頭炎や蜂窩織炎、敗血症、STSSなどの原因となる。
  • B群溶血性レンサ球菌(GBS):主にStreptococcus agalactiae。新生児の菌血症・髄膜炎や成人の敗血症などにも関係する。
  • G群溶血性レンサ球菌(GGS):主にStreptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis。呼吸器感染症や敗血症、STSSの原因となる。
  • C群溶血性レンサ球菌:同じくSTSSの原因となり得るレンサ球菌の一群。

2022年から2026年7月までの国内届出では、A群が2,613例、B群が923例、G群が1,771例だった。A群が最多であるものの、B群やG群も無視できない規模で報告されている。

加えて、届出時の年齢中央値はA群66歳、B群76歳、G群82歳だった。原因菌の血清群によって患者の年齢構成にも違いがあることが分かる。

感染経路は傷口だけではない

STSSの感染経路として、接触感染や創傷感染が知られている。皮膚の傷や外傷などを通じて菌が体内に侵入する可能性がある。

一方で、感染経路が分からない症例も少なくない。厚生労働省とJIHSは、感染経路不明の届出が多いことを明らかにしている。

2026年9月更新のJIHS資料に掲載された感染経路別の集計では、A群の届出で接触感染・創傷感染の記載が1,201例あった一方、感染経路不明も1,044例に上った。B群やG群でも不明例が相当数を占めている。

この数字から分かるのは、傷口の処置が重要である一方、すべてのSTSSが明確な外傷や傷口から発症するわけではないということだ。

傷口がなくても発症する可能性がある

小さな切り傷や擦り傷だけでなく、打撲などによる深部組織の損傷が関係する場合もある。表面上は目立った傷がなくても、筋肉や筋膜などの深い部分に感染が起こる可能性が指摘されている。

また、溶連菌そのものには飛沫感染や接触感染が関係する。厚生労働省は、手指衛生や咳エチケットを基本的な対策として挙げている。

ただし、一般的な溶連菌の感染経路と、個々のSTSS患者がどの経路で感染したかは区別しなければならない。感染経路が特定できない患者がいる以上、傷口だけに注意すれば十分という考え方は適切ではない。

【重症化する仕組み】なぜ人喰いバクテリアは致命率30~40%なのか

通常は細菌が存在しない部位への侵入が問題

STSSでは、溶血性レンサ球菌が血液やその他の通常無菌である部位に侵入し、重篤な感染症を引き起こす。

原因菌の毒素産生や宿主側の免疫反応などが重症化に関係すると考えられているが、厚生労働省はSTSSの重症化メカニズムについて、現在も十分に解明されていないと説明している。

このため、特定の毒素だけですべての症状を説明できるわけではない。菌の性質と全身の炎症反応、組織障害などが複雑に関係している。

壊死性筋膜炎・敗血症・多臓器不全へ進行する

STSSの重症化には、主に次のような病態が関係する。

1.軟部組織感染・壊死性筋膜炎

皮膚の下にある皮下組織や筋膜などに感染が広がる。感染が急速に進むと、組織への血流が障害され、組織が壊死することがある。壊死性筋膜炎はSTSSに関連する代表的な重篤な病態の一つだ。

2.敗血症・敗血症性ショック

感染に対する全身反応が制御できなくなり、血圧が低下して臓器への血流が不足する。適切な循環管理が行われなければ、生命に関わる状態となる。

3.多臓器不全

腎臓や肝臓、肺など複数の臓器が機能障害を起こす。腎不全、肝不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)などが代表例だ。

こうした病態が短時間に重なって進行することが、STSSの大きな危険性である。

致命率は30~40%。ただし全患者が同じ経過をたどるわけではない

JIHSのSTSS解説では、致命率は30~40%とされている。一般的な感染症と比較しても極めて深刻な数字だ。

ただし、この数字はSTSS全体について示された致命率であり、個々の患者の死亡確率をそのまま表すものではない。患者の年齢、基礎疾患、感染部位、臓器障害の程度、治療開始までの時間などによって経過は異なる。

また、2022年から2026年7月までの血清群別データでは、A群の患者の年齢中央値は66歳、B群は76歳、G群は82歳だった。高齢者が多い傾向は、医療現場で警戒すべき背景の一つとなっている。

糖尿病、免疫不全、外傷、手術後、新生児期、妊娠・周産期などもリスク因子として挙げられる。ただし、重い基礎疾患がない人でも発症することがあるため、特定の人だけが注意すればよい感染症ではない。

【治療法・予防法】抗菌薬と緊急手術、日常生活でできる対策

治療の基本は迅速な抗菌薬投与

STSSが疑われる場合、治療で優先されるのは迅速な抗菌薬投与と全身状態の安定化だ。

原因菌が確定する前から重症感染症を想定した抗菌薬治療を開始し、検査結果や臨床所見に応じて治療内容を調整する。

溶血性レンサ球菌が原因と特定された場合には、高用量のペニシリン系抗菌薬とクリンダマイシンの併用が治療の基本として示されている。

クリンダマイシンは、A群溶血性レンサ球菌の外毒素やMタンパク質の産生を抑える目的で使用される。

壊死した組織を取り除く緊急手術

抗菌薬だけでは感染源を十分に制御できない場合がある。そのため、皮膚や軟部組織に重篤な感染が確認された場合には、外科的な処置が必要になる。

代表的なのがデブリードマンと呼ばれる手術だ。感染によって壊死した組織を取り除き、感染源を制御することを目的としている。

病状によっては、広範囲の組織切除や切断が検討される場合もある。これは感染の進行を抑え、生命を救うために必要となることがある処置だ。

集中治療室での全身管理

STSSでは、抗菌薬や手術と並行して、臓器機能を維持するための集中治療が行われる。

  • 輸液:血液循環を維持するために必要な水分を補う。
  • 昇圧剤:血圧が低下した場合に循環を支える。
  • 人工呼吸管理:呼吸不全が生じた場合に呼吸を補助する。
  • 透析:腎機能が著しく低下した場合に腎臓の働きを補う。
  • 感染源の除去:必要に応じて外科的に感染組織を取り除く。

なお、免疫グロブリン製剤の使用については、JIHSの診療資料ではSTSSに対する有効性が確立したとはいえず、さらなる研究が必要とされている。

日常生活で実践したい5つの予防策

STSSを完全に防ぐ方法は確立されていないが、基本的な感染対策を徹底することは重要だ。厚生労働省が推奨する対策を中心に、日常生活で意識したいポイントを整理する。

1.石けんと流水で手を洗う

帰宅後、食事の前、傷口に触れる前後などに手洗いを行う。手指に付着した細菌を減らす基本的な対策になる。

2.咳エチケットを実践する

咳やくしゃみが出るときは、マスクやティッシュ、袖などで口と鼻を覆う。呼吸器感染症の予防にもつながる。

3.傷口を清潔に保つ

切り傷や擦り傷ができた場合は、流水で汚れを洗い流し、清潔なガーゼなどで保護する。傷口の状態を日常的に確認し、赤みや腫れ、痛みが強くなる場合は医療機関に相談する。

4.傷口を不用意に触らない

傷口や滲出液に触れるときは衛生面に注意し、処置の前後には手洗いを行う。家族間でもタオルなどの共用には気を配りたい。

5.急激な体調変化を見逃さない

発熱だけでなく、手足の強い痛みや腫れ、急速な全身状態の悪化がある場合は、早急に医療機関を受診する。症状が軽く見えても、短時間で悪化する可能性がある。

なお、STSS患者と接触したすべての人が予防的に抗菌薬を服用するわけではない。家族内接触者への予防投与は、特定の高リスク条件などを踏まえて医療従事者が判断するものであり、自己判断で抗菌薬を使用してはいけない。

【人喰いバクテリアに関するよくある質問(FAQ)】

Q1:人喰いバクテリアは人から人へ感染しますか?
A1:溶血性レンサ球菌には飛沫感染や接触感染が関係します。STSSでは傷口を通じた感染も報告されています。ただし、個々のSTSS患者の感染経路が特定できないケースも多く、一般的な溶連菌感染症とSTSSの感染経路を同一視することはできません。手洗いや咳エチケット、傷口の適切な処置が基本です。

Q2:人喰いバクテリアは健康な人でも感染しますか?
A2:はい。高齢者や糖尿病、免疫不全などのリスク因子を持つ人に注意が必要ですが、重い基礎疾患がない人でも発症する可能性があります。健康状態だけを理由にSTSSを完全に否定することはできません。

Q3:人喰いバクテリアに感染したら必ず手足を切断するのですか?
A3:必ず切断が必要になるわけではありません。壊死性筋膜炎などで感染組織が広範囲に及んだ場合には、デブリードマンや切断が検討されることがあります。治療方針は感染範囲や全身状態によって決まり、早期の抗菌薬治療と感染源の制御が重要です。

Q4:2026年の人喰いバクテリアの患者数は何人ですか?
A4:JIHSが2026年9月18日に更新した資料では、2022年1月1日から2026年7月31日までの累計届出数は5,724例です。これは2026年単年の患者数ではありません。2026年だけの最新の年次集計を確認する際は、対象期間と公表時点を区別する必要があります。

Q5:人喰いバクテリアを予防するワクチンはありますか?
A5:STSSを対象とした一般向けの定期予防ワクチンは確立されていません。手洗い、咳エチケット、傷口の清潔な処置などの基本的な感染対策を継続が必要です。

人喰いバクテリアと呼ばれる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)は、一般的な溶連菌感染症とは異なる、非常に重篤な感染症だ。A群だけでなく、B群やG群など複数の溶血性レンサ球菌が原因となり、手足の強い痛みや腫れ、発熱などから急速にショックや多臓器不全へ進行する場合がある。

2026年7月31日までの国内累計届出数は5,724例。2024年の大幅な増加後も、2025年、2026年と報告は続いている。致命率30~40%という数字は、この感染症の深刻さを示している。

今回のデータから読み取れる要点は、次の3つだ。

  • 原因菌をA群だけに限定しない:B群やG群も相当数報告されており、幅広い菌種が関係している。
  • 傷口が見当たらなくても油断しない:感染経路不明の症例や、皮膚に明確な異常が現れる前から強い痛みが出る症例がある。
  • 症状の進行速度を重視する:手足の激しい痛み、腫れ、発熱、全身状態の急激な悪化があれば、速やかな救急対応が必要になる。

STSSは、日常生活の感染対策だけで完全に防げる病気ではない。しかし、手洗い、傷口の適切な処置、体調変化への注意によって、感染リスクを減らす取り組みはできる。

そして何より重要なのは、激しい痛みや急速な腫れを単なる筋肉痛や皮膚トラブルとして放置しないことだ。早期に異常を察知し、医療機関につなげることが、命を守るための大きな分岐点となる。

2026年以降もJIHSや厚生労働省が公表する感染症発生動向を確認しながら、過度に恐れることなく、正確な知識に基づいた感染対策を続けたい。

主な参照公的資料

- 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「STSS届出の動向」2026年9月18日更新版。
- 厚生労働省「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」および「STSSに関するQ&A」。
- JIHS国際感染症センター「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」診療資料。
- JIHS「劇症型溶血性レンサ球菌感染症 2015年~2025年6月」疫学資料。
- 大阪府感染症情報センター「劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発生状況および特徴のまとめ」。

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土屋 澪
トレンドリサーチャー 土屋 澪
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映画と連続ドラマの公開情報を担当。配給会社のプレスシート、作品公式ページ、興行発表の数値をもとに、あらすじは公開時点の内容として書きます。

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