「恥を知れ、恥を!」の発言者は、石丸伸二氏です。
石丸氏は1982年生まれ、広島県安芸高田市出身。京都大学経済学部を卒業後、三菱UFJ銀行に勤務し、2020年8月に安芸高田市長に就任しました。
市長時代には財政改革や行政運営の見直しを進める一方、市議会との議論がたびたび報道されるようになりました。
このフレーズが生まれたのは、2022年6月10日の令和4年第2回安芸高田市議会6月定例会です。
したがって、映画やドラマ、アニメの名セリフが元ネタというわけではありません。実際の地方議会での市長答弁が発祥です。
発言が生まれた背景には居眠り議員問題もあった石丸氏と議会の関係は、2022年6月に突然悪化したわけではありません。
FNNプライムオンラインの2022年6月10日付報道によると、石丸氏の市長就任直後、2020年9月の議会答弁中に議員のいびきが聞こえる場面がありました。
当時、石丸氏は眠たくならないような答弁をしなければならないと冗談交じりに話し、その後、SNSでも議会の緊張感について問題提起しています。
加えて、副市長人事をめぐる意見の対立や、議員の一般質問、説明責任をめぐる批判が積み重なっていきました。
ここで押さえておきたいのは、2022年6月10日の発言が、特定の居眠り議員一人だけを対象にしたものではないという点です。
石丸氏は議会全体の活動状況を問題視し、複数の論点を挙げて批判していました。
【発言全文を検証】石丸伸二氏は何に対して怒ったのか

安芸高田市が公開している2022年6月10日の公式会議録には、石丸氏の提案理由説明が記録されています。
問題の発言は、議員定数削減案を議会軽視だと批判する意見に反論した場面で登場します。
公式会議録に残る該当部分は次のとおりです。
「恥を知れ、恥をという声が上がってもおかしくないと思います」
この発言に続き、石丸氏は命令口調が失礼に聞こえたのであれば訂正すると述べ、議員に対して自らの行為を恥ずべきこととして受け止めるよう求めました。
ここには、動画の短い切り抜きだけでは伝わりにくい重要な違いがあります。
発言の前後にあった3つの批判石丸氏が問題として挙げたのは、主に次の3点です。
1.居眠りをする議員
市長の答弁中に居眠りをする議員がいることを問題視しました。市民の代表として議会に出席する以上、議論に参加する姿勢が必要だという主張です。
2.一般質問をしない議員
2022年6月の定例会で、当時の議員16人のうち一般質問を予定していたのは7人でした。
石丸氏は、残る9人が一般質問を行わないことを取り上げ、議員としての活動を市民に示す必要性を訴えました。
ただし、一般質問の回数だけで議員の活動全体を評価できるわけではありません。委員会活動や議案審査など、議員にはほかの職務もあります。この点は議論を読む際に区別すべき部分です。
3.説明責任を果たさない議員
石丸氏は、議会での判断や発言について、理由を市民に説明することも議員の責任だと主張しました。
議会が本来果たすべき役割を十分に発揮していないというのが、石丸氏の批判の中心でした。
「恥を知れ」は単なる怒りの言葉だったのかこの発言の特徴は、議員の行動に対する批判を、強い道徳的な言葉に置き換えた点にあります。
「恥を知れ」という表現には、自分の行為が社会的な責任や職務上の期待に反していないか、自覚するよう求める意味があります。
石丸氏の場合、議員として市民から負託を受けた以上、議会の機能を損なうような行為は慎むべきだという考えを表現したものです。
一方、相手の行動を恥と断じる言葉は、議論の内容よりも発言者の強い態度に注目を集めやすいという特徴もあります。
そのため、この発言を評価する際には、主張の内容と表現方法を分けて考える必要があります。
【議員定数半減案の真相】市長と市議会はなぜ対立したのか
発端は副市長定数の削減だった議会との対立を理解するうえで欠かせないのが、2022年3月の副市長定数をめぐる議論です。
安芸高田市議会は2022年3月7日、議員提案による条例改正案を可決しました。
内容は、副市長の定数を2人から1人に減らすというものです。
提案した議員側は、新型コロナウイルス感染症や豪雨災害への対応、市の財政健全化などを理由に挙げました。
一方、石丸氏は副市長2人体制による行政運営を重視しており、この決定をめぐって市長と議会の意見が対立しました。
石丸氏が議員定数を16人から8人に減らす案を提出副市長定数の削減から約3か月後、石丸氏は議員定数を半減する条例改正案を提出します。
市議会議員の定数を16人から8人に変更するという内容でした。
石丸氏が公式会議録で説明した主な理由は、次の2つです。
- 財政負担の軽減
- 市民からの議員活動に対する評価
石丸氏の説明によれば、議員8人分の削減によって、人件費を年間約4,500万円圧縮できるという試算でした。
また、3月に議会が副市長の定数を削減したこととの整合性も提案理由として示しました。
議会側にも反対する理由があった一方、議員側の反論も重要です。
反対討論では、定数を半減することによって市民の意見を議会に届ける機会が減る可能性が指摘されました。
山根温子議員は、当時16人の議会で女性議員が自分一人だったことを挙げ、議員定数の削減が女性や若者など多様な人材の参画を難しくする可能性を訴えています。
また、田邊議員は住民の意見を十分に調査し、議論を重ねたうえで定数を変更するべきだと主張しました。
対照的に、熊高昌三議員は賛成討論で、8人でも議員同士が補い合えば市民の意見を反映できると説明しました。
つまり、議会内でも一枚岩ではなく、定数削減に賛成する意見と反対する意見の両方が存在していたのです。
2022年6月10日を中心とした重要な経緯今回の騒動を理解するための主要な出来事を整理します。
採決結果は、報道によれば賛成1、反対14でした。
安芸高田市の公式会議録では、起立による採決で賛成者が少数だったため否決されたと記録されています。
反対した議員たちが重視したのは、単なる定数の数字ではありません。
- 市民の声を議会に届ける仕組み
- 市長と議会が互いを監視する二元代表制
- 女性や若者など多様な人材の参画
- 定数を変更する前の十分な調査と議論
一方、石丸氏や賛成した熊高議員は、議員数が少なくても住民自治の仕組みを活用すれば、市民の意見を反映できるという立場でした。
このように、議員定数半減案の否決は、単に市長の提案が通らなかったという話ではありません。議会の効率性と住民代表としての多様性をどう両立させるかという問題が背景にありました。
【切り抜き動画とSNS拡散】なぜ全国的な話題になったのか
数秒の映像が持つ強いインパクト「恥を知れ、恥を!」という言葉が全国に広まった背景には、動画プラットフォームの存在があります。
市議会での議論は、本来なら地域住民を中心とした限られた人々が接する情報です。しかし、YouTubeなどで議会の様子が映像として公開されると、全国の視聴者が簡単に視聴できるようになります。
特に注目されたのが、石丸氏の強い口調と議員への反論を短時間にまとめた切り抜き動画でした。
日刊スポーツは2024年5月17日の記事で、非公式の切り抜き動画がSNSなどで広まり、石丸氏の知名度を高めたと報じています。
同記事では、安芸高田市の人口が約2万6,000人だった当時、広島県安芸高田市公式チャンネルの登録者数が約26万4,000人に達していたことも紹介されています。
なぜ切り抜き動画は拡散しやすかったのかこの現象には、動画コンテンツ特有の構造があります。
第一に、内容が短時間で理解できること。
長い議会答弁をすべて視聴しなくても、数十秒程度の映像で市長と議員の対立構造を把握できます。
第二に、感情が伝わりやすいこと。
声の大きさ、表情、間の取り方、相手への反論など、文章だけでは伝わらない要素が動画にはあります。
第三に、視聴者が自分の意見を持ちやすいこと。
議会の議論を見た人は、石丸氏の主張に共感することもあれば、言葉の強さに違和感を持つこともあります。意見が分かれるテーマは、コメントやSNSでの議論につながりやすい側面があります。
東洋経済オンラインも、安芸高田市議会の切り抜き動画がYouTubeで拡散し、石丸氏が注目されるきっかけになった経緯を取り上げています。
切り抜き動画だけで判断してはいけない理由ここで注意したいのが、切り抜き動画と公式会議録の違いです。
安芸高田市議会のインターネット中継に関する公式案内では、配信動画は市議会の公式記録ではないと説明されています。また、同議会の配信映像を使った切り抜き・まとめ動画の作成や転載についても注意事項が設けられています。
一方、正式な会議の記録として公開されているのが、PDF形式の会議録です。
動画で発言の雰囲気を知ることはできますが、政策の背景や反対意見まで理解するには、会議録を確認する必要があります。
短い動画で関心を持ち、全文の記録で判断する。 これが政治関連の切り抜き動画と付き合う際の基本です。
【発言の意味と現在の評価】支持と批判が分かれる理由
支持する側が注目したポイント石丸氏の発言を肯定的に受け止める人々が注目したのは、議員としての職務や説明責任を正面から問い直した点です。
議員は選挙によって市民から負託を受けた立場です。市民の税金によって議会運営が行われる以上、活動内容を説明する必要があるという考え方には、地方政治の透明性という論点があります。
また、議会の様子を動画で公開したことにより、普段は関心を持ちにくい地方議会に目を向けるきっかけが生まれました。
この点は、石丸氏の発言そのものとは別に、地方議会の情報公開という観点から考えることができます。
批判する側が問題視したポイント一方、批判的な立場からは、強い言葉で議員を非難することが、建設的な政策論争につながるのかという疑問が提示されています。
実際、2022年6月10日の議会では、先川和幸議員が「恥を知れ」という発言について品位のない行為だと批判しました。
また、山根議員らは議員定数削減の進め方や住民の意見を反映する仕組みを問題視しました。
ここで重要なのは、議員定数削減案への反対が、必ずしも議会改革そのものへの反対を意味していたわけではないことです。
南澤議員は、議員の不断の努力や活動内容の開示には理解を示しながらも、8人という定数が最適なのかは慎重に議論する必要があると述べています。
石丸氏本人は発言をどう説明しているのか2024年7月11日の日刊SPA!では、石丸氏自身が「恥を知れ、恥を!」という発言を振り返っています。
本人の説明によると、この発言は議員定数半減案の提出に際して考えたもので、実際に発言する約3日前から言葉を練っていたといいます。
また、石丸氏は議員定数半減案について、3月に副市長定数が削減されたことを受け、立場を入れ替えて考える「反転可能性テスト」という考え方を用いたと説明しています。
副市長の定数削減を財政健全化の観点から認めるのであれば、議員定数についても同じように検討できるのではないか、という問題提起だったという説明です。
さらに本人は、問題の発言が居眠りする議員だけでなく、質問をしない議員や説明責任を果たさない議員、それを容認する議会に向けられたものだったと振り返っています。
この説明から分かるのは、少なくとも本人にとって、あの言葉が単なる感情の爆発ではなく、議会改革をめぐるメッセージの一部だったということです。
ただし、発言の意図と、実際に受け手がどう感じたかは別の問題です。
【2024年都知事選から2026年現在】石丸伸二氏と「恥を知れ」のその後
2024年の東京都知事選で再び注目「恥を知れ、恥を!」というフレーズが再び大きく取り上げられたのが、2024年の東京都知事選挙です。
石丸氏は2024年5月に出馬を表明し、7月7日の投開票で1,658,363.406票を獲得しました。
東京都選挙管理委員会の公式結果では、小池百合子氏に次ぐ得票数となっています。
選挙期間中の6月19日には、日本記者クラブの共同会見でも「恥を知れ、恥を!」という言葉を再び使用しました。
安芸高田市長時代の発言が、東京都知事選でも本人を象徴するフレーズとして使われたのです。
2025年には政治団体「再生の道」を設立2025年には石丸氏が政治団体「再生の道」を立ち上げました。
同団体は2025年6月の東京都議会議員選挙に42人、7月の参議院議員選挙に10人の候補者を擁立しました。
共同通信の2025年8月27日付報道によると、両選挙では候補者全員が落選し、石丸氏は同日に代表を退任する意向を表明しています。
なお、石丸氏本人はこれらの選挙には立候補していません。
2026年現在はReHacQ九州で情報発信2026年11月現在、石丸氏はReHacQ九州の支局長として活動しています。
2026年のRKB毎日放送の番組情報や10月のイベント告知でも、ReHacQ九州支局長として紹介されています。
安芸高田市長時代のように自治体の執行機関を率いる立場ではなく、現在は動画メディアや対談などを通じて、地域経済や政治、社会問題について発信する活動が確認できます。
2026年現在、「恥を知れ」の評価はどう見るべきかこの発言について、現在も考えるべき論点は大きく3つあります。
| 評価の視点 | 注目される論点 |
|---|---|
| 議会改革 | 議員の職務、活動の透明性、説明責任 |
| 言葉の使い方 | 強い批判表現と議論の建設性 |
| 民主主義 | 議会の監視機能、住民代表の多様性 |
発言に共感する人は、議員の仕事ぶりを市民に問いかけた点を重視します。
一方、慎重な見方をする人は、議員を厳しく批判することと、議会の機能を改善することは同じではないと考えます。
また、2022年の議員定数半減案を振り返ると、議員数を減らすことによる経費削減と、市民の意見を届ける機会の確保は、どちらも地方自治にとって重要なテーマです。
2026年現在も、この発言の評価を一つの結論にまとめるより、当日の議論と制度上の問題を分けて考えることが必要です。
【プロの結論】「恥を知れ、恥を!」から学ぶ地方議会と情報発信の本質
この発言が長く記憶されている理由は、強烈な言葉だけではありません。
地方議会という普段は注目されにくい場所で、議員の仕事、市民への説明責任、議会の役割という問題が全国的な関心を集めたことにあります。
一方で、動画の拡散によって議論の一部だけが独り歩きする危険性も明らかになりました。
政治家の発言を理解する際には、次の3つを分けて考えることが重要です。
1. 発言の事実: いつ、誰が、どのような場面で発言したのか。
2. 政策上の争点: その発言が、どのような政策や制度の議論に結びついていたのか。
3. 表現への評価: 主張の内容と、相手に向けた言葉遣いをどう考えるのか。
石丸氏の発言をめぐる議論は、地方政治の情報公開と、短い動画が世論形成に与える影響を考える材料にもなっています。
【恥を知れ、恥を!】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「恥を知れ、恥を!」は誰が言った言葉ですか?
A1:元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏です。2022年6月10日の安芸高田市議会で、議員定数半減案の提案理由を説明する際に発言しました。
Q2:発言の元ネタは何ですか?
A2:映画やアニメなどではなく、2022年6月10日の安芸高田市議会での実際の発言です。公式会議録にも該当部分が残っています。
Q3:石丸伸二氏はなぜ「恥を知れ」と発言したのですか?
A3:居眠りをする議員、一般質問をしない議員、説明責任を果たさない議員などを問題視し、議会の本来の機能を果たすよう求めたためです。
Q4:議員定数半減案は可決されましたか?
A4:いいえ。2022年6月10日の採決で否決されました。報道では賛成1、反対14とされています。
Q5:「恥を知れ」は特定の居眠り議員に向けた言葉ですか?
A5:特定の一人だけを対象とした発言ではありません。石丸氏は議員の活動状況や説明責任、議会全体のあり方を批判していました。
Q6:2024年の東京都知事選でもこの言葉を使いましたか?
A6:はい。2024年6月19日の候補者共同会見で、石丸氏は再び「恥を知れ、恥を!」というフレーズを使用しました。
Q7:石丸伸二氏は2026年現在何をしていますか?
A7:2026年現在はReHacQ九州の支局長として活動しています。動画メディアや対談を通じて、政治や地域社会などのテーマを発信しています。
「恥を知れ、恥を!」は、石丸伸二氏が2022年6月10日の安芸高田市議会で発した言葉です。
その背景には、議員定数を16人から8人へ削減する条例改正案と、市長・議会間で続いていた行政改革や財政健全化をめぐる対立がありました。
提案された議員定数半減案は否決されましたが、議会映像の切り抜き動画やSNSを通じて発言が広まり、石丸氏の知名度を全国的に高めるきっかけとなりました。
2026年現在、この言葉を理解するために大切なのは、動画のインパクトだけで判断しないことです。
発言の前後、政策の中身、議会側の反論、そして採決結果まで確認すること。
それによって初めて、「恥を知れ」という一言の背景にあった地方自治の課題が見えてきます。
主な一次資料:安芸高田市議会「令和4年第2回安芸高田市議会6月定例会会議録」(2022年6月10日)、同市議会「令和4年第1回3月定例会会議録」(2022年3月7日)、東京都選挙管理委員会「令和6年東京都知事選挙開票結果」。報道資料:FNNプライムオンライン、日刊スポーツ、日刊SPA!、共同通信。