市橋翔哉の引退について、特に気になるのが「なぜ競技を辞めたのか」という点だ。
時系列で見ると、引退に至る転換点は2022年11月の柚木心結とのペア解消発表にある。市橋はこのとき、競技を続けることが難しくなったと説明していた。その後、2023年2月26日をもって約16年間続けてきたフィギュアスケートから引退している。
本人が明かした引退への思い市橋は2023年8月14日の自身のInstagramへの投稿で、実際の引退日を公表した。発表によると、引退したのは同年2月26日。長く続けてきた競技生活を振り返り、次のような言葉を残している。
「ただただやり切った。」
また、約16年間の競技生活について、最後まで普段どおりの気持ちでスケートに向き合えたことや、ファンとの出会い、競技を通じて得た経験が誇りであり宝物であることを伝えた。
投稿では、スケーターとしての人生には区切りをつけ、第2の人生を楽しむという前向きな意思も示している。引退を後悔しているという内容ではなく、長い競技生活をやり切ったという本人の実感が中心だった。
引退理由はけが?経済的事情?2022年11月のペア解消発表で市橋が示した理由は「一身上の都合」であり、競技継続が難しくなったという説明だった。具体的にどのような事情だったのか、病気やけが、経済的な問題などが原因だったのかについては、本人から詳細な説明は公表されていない。
2015年にシングルからペアへ転向した際、けがの影響で苦しい選手生活を送っていたことは、テレビ朝日の過去のインタビューで紹介されている。しかし、それを2023年の引退理由と直接結び付けることはできない。
また、柚木とのペア解散についても、本人の説明は競技継続が困難になったというものだ。パートナーとの不仲や競技への意欲喪失が原因だったとする公的な説明はない。
したがって、引退について確認できる事実は、2022年11月に競技継続が難しいと表明し、2023年2月26日に実際の引退を迎えたこと、そして本人が16年間の競技生活をやり切ったと振り返っていることだ。
【市橋翔哉の現在】2026年は関西でフィギュアスケートのコーチに

2026年現在、市橋翔哉は現役選手ではなく、フィギュアスケートのコーチとして活動している。日刊スポーツは2026年2月19日の五輪関連インタビューで、現在の市橋について関西を拠点にコーチ活動をしていると紹介した。
現役引退後もフィギュアスケートとの関わりを続けていることが、2026年の報道によって改めて明らかになった。
2025~2026年シーズンのコーチ活動コーチとしての活動は、選手の公式プロフィールからも確認できる。
フジテレビのフィギュアスケート情報サイト「スケート∞リンク」では、2025~2026年シーズンの選手紹介に市橋の名前が掲載されている。
- 一貫田紗生:関空スケート所属。細田采花、長光歌子、市橋翔哉がコーチとして掲載されている。
- 岩崎陽菜:甲南女子大学所属。細田采花、長光歌子、田中刑事、市橋翔哉がコーチとして掲載されている。
いずれも複数の指導者によるコーチング体制であり、市橋はその一員として名前が確認できる。選手として培った経験を、次世代のスケーターの指導に生かしていることが分かる。
ただし、これらのプロフィールだけから、市橋が特定の選手の専属コーチやヘッドコーチを務めていると判断することはできない。公表されているのは、指導陣の一人として関わっているという事実だ。
元ペア選手だからこそ伝えられる技術と経験市橋のコーチとしての強みを考えるうえで注目したいのは、シングルとペアの両方を経験している点だ。
シングルからペアへ転向し、三浦璃来と国際大会を経験。その後、柚木心結とのペアで再び競技に挑戦した。選手としての道のりは順風満帆ではなかったが、異なる競技環境を経験していることは、指導者としての視野を広げる要素になる。
とりわけペア競技では、個人のジャンプやスケーティング技術だけでなく、2人のタイミング、意思疎通、互いへの信頼が欠かせない。市橋はこうした要素を競技者自身として経験している。
日本ではペア競技の指導環境が限られている。2026年の五輪後、市橋自身もペア競技の練習環境やコーチ不足について具体的に語っている。関西で後進を指導する立場になったことは、本人のキャリアだけでなく、日本のフィギュアスケート界にとっても意味のある動きだ。
【2026年最新】市橋翔哉が語った「りくりゅう」の五輪金メダル
市橋の名前が2026年に再び大きく取り上げられたのは、三浦璃来・木原龍一組の「りくりゅう」がミラノ・コルティナ冬季オリンピックで金メダルを獲得したためだ。
日本のペア競技にとって歴史的な快挙となったこの大会で、市橋はかつて三浦とペアを組んでいた元選手、そして現在のコーチという2つの視点から、りくりゅうの強さを分析した。
日刊スポーツの2026年2月19日付の記事によると、市橋は2月17日に同紙の有料会員向けライブ配信に出演。ショートプログラム5位から逆転して金メダルを獲得した2人の演技について語った。
市橋が評価したのは技術以上の信頼関係市橋がりくりゅうの最大の強みとして挙げたのは、2人の信頼関係だった。
「“りくりゅう”の強みは間違いなく信頼関係の強さです。」
市橋が注目したのは、ショートプログラム中盤のリフトでミスが出た後の対応だった。通常、ペア競技では一つのミスが心理的な動揺につながり、その後の技にも影響する可能性がある。
しかし、三浦と木原はその後のスロージャンプを成功させた。市橋は、失敗の直後にも演技を立て直せたことに、日々の練習で培われた信頼関係が表れていたと分析した。
この指摘は、かつて三浦のパートナーだった市橋だからこそ説得力を持つ。ペア競技では、技術的な完成度が高いだけでは十分ではない。相手の状態を理解し、次の動作を安心して任せられる関係が必要になる。
「命を預かる」男性選手の責任市橋は、ペア競技における男性選手の責任についても説明している。リフトでは女性選手を高く持ち上げ、スロージャンプでは相手の着氷まで考慮して動作を行う。失敗が重大なけがにつながる可能性もあるため、技術だけでなく安全への意識が欠かせない。
男性選手がパートナーの安全を支える責任を負うという経験は、市橋自身も現役時代に重ねてきたものだ。木原が背負ってきた責任感についても、元ペア選手として理解できる部分があると語った。
日本のペア競技が抱える練習環境の問題加えて、市橋のコメントで見逃せないのが、日本のペア競技を取り巻く環境への指摘だ。
日刊スポーツの記事では、ペアは安全面の理由からシングル選手と同じ条件で練習することが難しく、リンクの貸し切りには費用がかかると説明されている。国内に十分な指導環境がなければ、海外への渡航費や生活費も必要になる。
つまり、ペア競技の発展を妨げているのは、選手の技術や才能だけではない。練習場所、指導者、費用、パートナー探しという複数の条件がそろわなければ、競技を継続すること自体が難しくなる。
市橋自身も、三浦との解消後にパートナーを探す期間を経験し、柚木とのペア活動を経て競技生活に区切りをつけた。こうした経験を持つ人物が、2026年に指導者として日本のペア競技を見つめていることには大きな意味がある。
りくりゅうの金メダルは、日本のペア競技の可能性を示した。一方、市橋の発言は、その成功を次世代へつなぐために必要な環境整備という課題も浮き彫りにした。
【市橋翔哉に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:市橋翔哉は2026年現在、何をしていますか?
A1:現役を引退し、関西を拠点にフィギュアスケートのコーチとして活動しています。2025~2026年シーズンの選手公式プロフィールにも、指導者として名前が掲載されています。
Q2:市橋翔哉の引退理由は何ですか?
A2:2022年11月、柚木心結とのペア解消を発表した際に「一身上の都合により、今後競技を続けることが難しくなり」と説明しました。詳しい事情は公表されていません。実際の引退日は2023年2月26日です。
Q3:市橋翔哉と三浦璃来はなぜペアを解消したのですか?
A3:2019年7月にパートナーシップの解消を発表しています。具体的な理由は公表されていません。その後、三浦は木原龍一と新ペアを結成し、「りくりゅう」として活動を始めました。
Q4:市橋翔哉と柚木心結のペアはいつ解散しましたか?
A4:2022年11月21日に解散を発表しました。市橋が競技を続けられなくなったことが理由で、柚木はその後もペア選手として活動を続ける意向を示しました。
市橋翔哉の競技人生を振り返ると、三浦璃来との「りくしょう」、柚木心結との「みゆしょー」という2つのペアが大きな節目になっている。
三浦とのペアでは全日本ジュニア選手権2連覇、世界ジュニア選手権3大会出場、2018年四大陸選手権10位、2019年世界国別対抗戦出場を経験した。2019年のペア解消後もシングルで競技を続け、2021年には柚木との新ペアで全日本選手権優勝を果たしている。
その後、2022年11月のペア解散を経て、2023年2月26日に約16年間の競技生活を終えた。引退の詳しい理由は明らかにされていないものの、本人は競技人生をやり切ったという思いを伝えている。
そして2026年、関西でコーチとして活動する市橋は、かつてのパートナーである三浦璃来と木原龍一の五輪金メダルを見届けた。りくりゅうの強さを技術だけでなく信頼関係の面から分析し、日本のペア競技が抱える課題にも言及している。
市橋翔哉の現在を理解するうえで大切なのは、引退を競技人生の終わりだけで捉えないことだ。選手として積み重ねた経験は、今度はコーチとして次の世代へ受け継がれている。りくりゅうの金メダルによって日本のペア競技への関心が高まる2026年は、市橋の第二のキャリアにも注目したい時期となっている。