坂本龍一さんの闘病について、さらに詳しい情報が明らかになったのは2022年6月です。
2022年6月7日発売の文芸誌『新潮』7月号で、本人による連載「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」がスタートしました。
その第1回のタイトルは「ガンと生きる」。この連載で坂本さんは、自身のがんがステージ4に進行していたことを明かしました。
ステージ4と判明した背景本人の回顧録や連載をまとめたnippon.comの記事によると、闘病の経過は次のようなものでした。
- 2020年6月:ニューヨークの病院で直腸がんと診断。
- 2020年末:肝臓やリンパへの転移が判明。
- 2021年1月:肺への転移も確認され、日本で治療を続けることに。
- 2021年:直腸の原発巣や転移した腫瘍を切除する大規模な手術を経験。
- 2021年10月・12月:両肺に転移した腫瘍の摘出手術を受ける。
最初の大規模手術は約20時間に及び、大腸を約30センチ切除するなど、身体への負担も大きいものでした。
新潮社の連載開始時の発表でも、直腸の原発巣と複数の転移巣を切除する手術を含め、短期間に大小6回の手術を経験したことが紹介されています。
ステージ4でも音楽を手放さなかったステージ4という病状を公表した後も、坂本さんは創作活動を続けていました。
本人は『新潮』の連載で、敬愛するバッハやドビュッシーのように、最後の瞬間まで音楽を作りたいという思いを語っています。
これは、単に仕事を続けるという意味だけではありません。
長年、作曲家として音楽と向き合ってきた坂本さんにとって、創作は自身の人生を形づくる大切な営みでした。
闘病によって身体の状態や活動できる時間が制限されても、音楽を作ることへの意欲は失われていなかったのです。
一方、2022年の連載では、すでに残っている病巣への対応が難しく、手術ではなく薬による治療を続ける状況についても語られています。
この時期の記録は、病気の進行だけでなく、坂本さんが残された時間をどのように受け止め、音楽と向き合っていたのかを知る重要な資料です。
【晩年の代表作】最後のオリジナルアルバム『12』に込めた思い

2023年1月17日発売
闘病生活の中で制作された12曲の音楽スケッチを収録した作品。
アートワーク:李禹煥
坂本龍一さんの晩年を語るうえで欠かせない作品が、2023年1月17日に発売されたオリジナルアルバム『12』です。
2017年の『async』以来、約6年ぶりのオリジナルアルバムであり、生前最後のオリジナルアルバムとなりました。
大きな手術の後に始まった音楽制作『12』の特徴は、制作の背景にあります。
坂本さんは2021年3月初旬に大きな手術を受け、長期入院を経験しました。
退院後、少しずつ体力が戻ってきた同月末、ふとシンセサイザーに触れたことが制作のきっかけになったと、本人が作品の紹介文で説明しています。
最初からアルバムを完成させる目的があったわけではありません。
その日の気分や身体の状態に合わせて音を作り、スケッチのように録音を重ねていきました。
その中から選ばれた12曲をまとめたのが『12』です。
12曲のタイトルは制作した日付収録曲のタイトルは、通常の楽曲名ではなく、制作した日付を基本としています。
代表的な収録曲には、次のようなものがあります。
- 20210310
- 20211130
- 20211201
- 20220123
- 20220202
- 20220214
- 20220302
- 20220404
作品には、音楽を作ったその時々の時間が記録されています。
エイベックスの公式ディスコグラフィーでは、坂本さん自身のコメントとして、日記を書くように音楽のスケッチを残していったことが紹介されています。
『12』は、単なる闘病中の作品という位置づけにとどまりません。
大規模な手術を経験した後、音楽に触れることで少しずつ創作を再開し、自分の状態を音として記録していった作品です。
病気によって生活が変化していく中でも、作曲家としての視点を持ち続けたことが、このアルバムから伝わってきます。
【死因の真相】坂本龍一はなぜ亡くなった?公式発表と報道の違い
坂本龍一さんは、2023年3月28日、71歳で亡くなりました。
所属事務所の株式会社キャブとエイベックス・エンタテインメントが、2023年4月2日に正式発表しています。
発表では、2020年6月に見つかったがんの治療を続けながら、体調の良い日には自宅のスタジオで創作活動を続けていたことが伝えられました。
公式発表で明かされた最期の日々所属事務所の発表には、坂本さんが最期まで音楽とともに過ごしていたことが記されています。
特に重要なのは、亡くなる直前まで音楽制作を続けていたという点です。
長期間にわたる治療を受けながらも、体調が許す日は自宅のスタジオで創作に取り組んでいました。
また、坂本さん自身の強い意志により、葬儀は近親者のみで執り行われ、弔問や香典、供花についても辞退することが発表されました。
事務所は発表の最後に、坂本さんが好んだ次の言葉を紹介しています。
Ars longa, vita brevis
芸術は長く、人生は短し
この言葉は、芸術が人間の一生を超えて受け継がれていくという意味を持つラテン語の格言です。坂本さんの音楽人生を象徴する一節として、訃報の発表に添えられました。
坂本龍一の死因は直腸がんだったのかここは検索する人が特に誤解しやすい部分です。
坂本さんが直腸がんと診断され、肝臓や肺などへの転移を経験し、ステージ4の状態で治療を続けていたことは、本人の公表内容や所属事務所の発表から確認できます。
しかし、死亡時の医学的な死因について、所属事務所の正式発表は具体的な病名を明記していません。
2023年4月3日のスポニチの報道でも、死因は明らかにされていないと伝えられています。
したがって、次のように区別する必要があります。
| 情報 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 2014年の病気 | 中咽頭がん。後に寛解 |
| 2020年の病気 | 直腸がん |
| 2022年の病状 | 本人がステージ4と公表 |
| 亡くなった日 | 2023年3月28日 |
| 亡くなった年齢 | 71歳 |
| 直接的な死因 | 具体的な医学的死因は公表されていない |
つまり、直腸がんの闘病中に亡くなったことは確認できますが、直腸がんそのものを公式に確定した直接死因として記載することはできません。
ネット上で混同されやすい3つの情報坂本さんの病気については、次のような誤解が生じやすくなっています。
1.2014年の中咽頭がんが再発したという説
2014年の中咽頭がんは、2021年の所属レーベルの発表で治療を経て克服したと説明されています。2020年に見つかったのは、新たな直腸がんです。両者を同じ病気の再発とする説明は正確ではありません。
2.2021年に手術が成功したから完治したという説
2021年の公式発表では手術の成功が報告されました。しかし、その後に本人が明らかにした回顧録では、肝臓や肺などへの転移と複数回の手術が語られています。手術成功とがんの完治は区別する必要があります。
3.公式発表で死因が直腸がんと確定しているという説
直腸がんの治療中だったことは公式発表に記されていますが、死亡の直接的な医学的原因は明示されていません。
この3点を区別することで、坂本さんの病気についての情報をより正確に理解できます。
【坂本龍一のがん】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:坂本龍一は何のがんだったのですか?
坂本龍一さんは、2014年に中咽頭がん、2020年に直腸がんと診断されました。最初の中咽頭がんは治療によって寛解しましたが、その後、新たな直腸がんが見つかり、肝臓や肺などへの転移が明らかになりました。
Q2:坂本龍一がステージ4を公表したのはいつですか?
2022年6月です。文芸誌『新潮』7月号から始まった連載「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」の第1回で、自身がステージ4であることや、転移したがんの摘出手術について明かしました。
Q3:坂本龍一の死因は直腸がんですか?
直腸がんの治療を続けていたことは所属事務所が発表しています。ただし、直接的な死因は正式には公表されていません。2023年3月28日に71歳で亡くなったことが確認されています。
Q4:坂本龍一の最後のアルバムは何ですか?
生前最後のオリジナルアルバムは、2023年1月17日に発売された『12』です。闘病生活の中で日記を書くように制作した12曲の音楽スケッチが収録されています。
Q5:坂本龍一は2026年現在どうしていますか?
坂本龍一さんは2023年3月28日に亡くなっています。2026年現在、本人の新たな病状や闘病に関する更新はありません。残された音楽作品や本人が記した回顧録を通じて、その創作活動や人生を振り返ることができます。
坂本龍一さんのがん闘病を振り返ると、2014年の中咽頭がんと2020年の直腸がんという、二つの異なる病気が人生の大きな転換点になっていたことが分かります。
重要な出来事を改めて整理します。
- 2014年: 中咽頭がんを公表し、治療に専念。その後、寛解。
- 2020年: 新たに直腸がんが見つかる。
- 2021年: 直腸がんを公表し、手術と治療を継続。
- 2022年: 本人がステージ4であることを明かす。
- 2023年: アルバム『12』を発表した後、3月28日に71歳で永眠。
特に注目したいのは、病状が進行してからも音楽制作を続けていたことです。
『12』に収められた12曲は、坂本さんが手術後に再び音に触れ、日々の感覚を記録するように作り上げた作品でした。病気の経過を知ったうえで聴くと、一つひとつの音の背景にある時間や創作への姿勢が、より深く伝わってきます。
また、坂本さんの死因については、直腸がんの治療中に亡くなったという事実と、医学的な直接死因が公表されていないという事実を分けて理解することが大切です。
2026年現在、坂本龍一さんは故人ですが、その音楽は今も残されています。
「芸術は長く、人生は短し」。
本人が好んだこの言葉は、がんとの闘病を経て最後まで創作を続けた坂本龍一さんの人生を振り返るうえで、今なお深い意味を持っています。