刑事手続きと並行して進められたのが、運営法人である社会福祉法人桜愛会に対する行政監査だ。
2023年2月9日、静岡県と裾野市はそれぞれの法的根拠に基づき、法人に改善勧告を出した。
県は児童福祉法第46条第3項、市は子ども・子育て支援法第39条第1項に基づく勧告である。単に職員個人の問題として処理するのではなく、施設と法人の管理責任も問われた。
改善勧告で指摘された問題静岡県の資料では、改善が求められた事項は主に3つだった。
1. 虐待や不適切保育が発生した原因の検証。
2. 再発防止に向けた具体的な取り組み。
3. 保護者との信頼関係を回復するための措置。
特に問題視されたのは、現場の職員だけでなく、理事長や施設長、主任保育士などの管理監督者にも責任が及ぶ組織運営だった。
2023年7月25日に最終報告書を提出法人と園は、弁護士2人と外部有識者1人で構成する第三者調査委員会を設置した。
同委員会は、不適切保育の全容や発生原因、責任の所在を調査。その結果をまとめた報告書と改善措置の最終報告書が、2023年7月25日に裾野市へ提出された。
その後、市は報告内容を確認し、2023年8月31日付で改善措置報告書を受理した。
実際に導入された再発防止策2023年9月7日の裾野市の記者会見資料には、法人が取り組んだ改善策が具体的に記録されている。
主なものは以下のとおり。
- 園舎内に防犯カメラ16台、屋外に2台を設置。
- 外部委託による虐待防止相談窓口の設置。
- 職員の人権意識や保育技術を高める研修。
- 職員会議の活性化と情報共有の強化。
- 理事長と施設長の役割分離。
- 法人役員向けのコンプライアンス・リスク管理研修。
- 職員の休憩時間確保やサービス残業の禁止徹底。
- 保護者との意見交換や改善状況の周知。
ここで注目したいのは、防犯カメラの設置だけではない。
第三者調査委員会は、外部の意見を取り入れにくい組織構造や、役員による内部統制の不備も原因として挙げていた。
そのため、外部相談窓口や役員研修、職員間のコミュニケーション改善など、組織全体の運営を変える措置が盛り込まれた。
改善勧告は取り消されたのか?市の2023年9月の資料では、改善措置が実施され、今後も継続されることを確認したうえで、報告書を受理したと説明されている。
ただし、これは改善措置の報告が受理されたという意味であり、事件そのものがなかったことになるわけではない。
また、改善報告の受理と、将来にわたる保育の安全性が保証されることも同義ではない。実際の運営で再発防止策が継続されているかどうかが、重要な判断材料となる。
【2026年現在のさくら保育園】認定こども園への移行と事件後の現状

2026年の大きな変化は、さくら保育園が幼保連携型認定こども園へ移行したことだ。
裾野市の幼保再編計画では、さくら保育園の認定こども園化が進められていた。
そして運営法人の社会福祉法人桜愛会は、2026年4月に「さくらこども園」を開園したと公式サイトの沿革で公表している。
2026年4月1日、正式に認定こども園として登録静岡県が公表する「認定こども園一覧(令和8年4月1日現在)」には、次の施設が掲載されている。
さくらこども園・さくらこども園小柄沢分園
- 設置者:社会福祉法人桜愛会
- 所在地:静岡県裾野市
- 施設類型:幼保連携型
- 認定日:2026年4月1日
- 認可定員:合計165人
これは県の認定こども園一覧に記載された情報であり、計画段階ではなく、2026年4月1日付で認定された施設として確認できる。
認定こども園になると何が変わる?幼保連携型認定こども園は、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ施設だ。
保育を必要とする家庭の子どもを受け入れるだけでなく、教育機能も担う。
主な特徴は次のとおり。
- 保育と幼児教育を一体的に提供する。
- 保護者の就労状況などに応じた利用区分がある。
- 幼児教育と保育の双方を担う。
- 地域の子育て支援機能を持つ。
さくらこども園の公式施設案内では、1号認定15人、2号・3号認定130人の定員が掲載されている。小柄沢分園についても別途運営情報が掲載されている。
施設名称の変更は事件の解決を意味するのかここは慎重に考える必要がある。
2026年4月の変更は、施設の運営形態と名称に関する制度上の移行である。
認定こども園として新たに認定されたことだけで、2022年の事件に関する責任が消えるわけではない。また、施設の名称が変わったことと、過去の問題が完全に解消されたことも同じではない。
事件後の改善措置が実際に機能しているか、職員が外部に相談できる環境が保たれているか、保護者が運営状況を確認できるかが引き続き重要になる。
2026年現在の施設の制度上の位置づけは、静岡県の認定一覧と桜愛会の公式施設情報から確認できる。一方、過去の事件に対する評価は、別の問題として考える必要がある。
元保育士3人の現在と保育士資格の取消処分もう一つ検索されているのが、元保育士3人が現在どうしているのか、保育士資格を失ったのかという点だ。
ここでは、刑事処分と行政上の資格処分を分けて考える必要がある。
刑事処分について確認できるのは、逮捕時の容疑に対する不起訴と、38歳の元保育士に対する別件の罰金20万円の略式命令である。
一方、保育士資格の登録取消は刑事手続きとは別の行政上の判断に関わる。
厚生労働省は事件を受け、保育士資格の取消についても十分な事実確認をしたうえで適切に対応するよう自治体に通知している。
しかし、今回の3人について、個別の資格登録取消処分を確認できる公表資料は見当たらない。
したがって、資格が取り消されたとも、取り消されていないとも断定できない。罰金刑を受けたことだけから、資格の現在の状態を判断することもできない。
【プロの結論】事件から考えるべき保育施設の透明性と責任
この事件から見えてくるのは、保育施設の安全性を職員個人の善意や経験だけに委ねることの危うさだ。
1歳児は、自分が受けた行為を十分に説明したり、第三者に助けを求めたりすることが難しい。だからこそ、保育施設には通常以上に透明性の高い管理体制が求められる。
今回の第三者調査委員会の報告は、職員個人の問題だけでなく、施設長や法人役員の管理責任、内部統制、外部の意見を取り入れる仕組みの不足にも言及している。
今後、保育施設を評価する際に注目したいのは、次の4点だ。
① 内部通報を機能させる仕組み
職員が上司や同僚の不適切な行為を指摘できるか。通報した人が不利益を受けない環境が整っているかが重要だ。
② 外部相談窓口の実効性
相談窓口が設置されているだけでは十分ではない。相談内容が適切に扱われ、必要な調査や改善につながることが求められる。
③ 保護者への説明責任
問題が発生したとき、保護者にいつ、どのような情報を伝えるのか。園の判断だけに任せず、行政が適切に監督する体制も必要だ。
④ 再発防止策の継続性
研修、防犯カメラ、職員会議などを導入しても、時間が経過すれば形骸化する可能性がある。継続的な検証と改善が欠かせない。
今回の事件は、個人の刑事責任だけでなく、組織として子どもの安全を守る仕組みが機能していたかを問う事例として、今後の保育行政にも教訓を残している。
【さくら保育園裾野の保育士実名】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:さくら保育園で逮捕された保育士3人の名前は公表されていますか?
A1:確認できる裾野市・静岡県の公式資料や主要報道では、3人のフルネームは公表されていません。逮捕時には30歳、38歳、39歳の女性として報じられています。
Q2:逮捕された保育士3人は全員不起訴になったのですか?
A2:逮捕時の暴行容疑については3人とも不起訴処分となりました。ただし、38歳の元保育士は別件で略式起訴され、2023年5月に罰金20万円の略式命令を受けています。
Q3:罰金20万円を受けた元保育士は誰ですか?
A3:報道では38歳の元保育士とされています。フルネームは確認できる主要報道では公表されていません。
Q4:保育士資格は取り消されたのでしょうか?
A4:3人それぞれの保育士登録取消処分について、確認できる公表資料はありません。刑事処分と資格登録の行政処分は別に考える必要があります。
Q5:社会福祉法人桜愛会にはどのような処分がありましたか?
A5:2023年2月9日、静岡県と裾野市が改善勧告を出しました。その後、第三者調査委員会による原因分析や再発防止策の策定が行われ、2023年8月31日に市が改善措置報告書を受理しています。
Q6:さくら保育園は2026年現在も存在していますか?
A6:2026年4月1日、運営法人の社会福祉法人桜愛会が幼保連携型認定こども園「さくらこども園」を開園しています。小柄沢分園も運営されています。
Q7:園長も逮捕されたのでしょうか?
A7:裾野市は2022年12月5日に当時の園長を犯人隠避の疑いで刑事告発しました。ただし、告発した事実と逮捕・起訴・有罪判決は異なり、その後の刑事処分については確認できる公表情報が限られています。
さくら保育園の園児虐待事件について、2026年11月時点で押さえておきたい事実は次のとおりだ。
- 元保育士3人のフルネームは、確認できる公式資料や主要報道では公表されていない。
- 2022年12月4日に30歳、38歳、39歳の女性3人が逮捕された。
- 逮捕時の容疑は3人とも不起訴となった。
- 38歳の元保育士には別件で罰金20万円の略式命令が出された。
- 社会福祉法人桜愛会には2023年2月に県と市から改善勧告が出された。
- 2023年8月31日に市が改善措置報告書を受理した。
- 2026年4月1日、さくら保育園は幼保連携型認定こども園「さくらこども園」へ移行した。
今回の事件で忘れてはならないのは、被害を受けた子どもたちとその家族の存在だ。
施設の名称や制度上の位置づけが変わっても、子どもを安全に預かるという保育の基本的な責任は変わらない。
また、事件の情報を調べる際には、実名の噂と公式発表、逮捕と有罪判決、不起訴と資格取消を混同しないことが大切だ。
2026年現在のさくらこども園の開園は確認できる事実だが、事件後の信頼回復は、名称変更ではなく、継続的な運営の透明性と再発防止の実効性によって評価されるべきである。
今後も裾野市や静岡県による保育施設への監督、法人の情報公開、子どもの安全を守る取り組みが注目される。