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頭皮からの汗が多い原因は?緊張・多汗症の見分け方と対策、受診目安を徹底解説【2026年版】

土屋 澪 土屋 澪 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

頭皮から大量の汗が出る、髪の生え際から汗が流れる、涼しい場所にいても頭だけ汗が止まらない。このような症状には、気温や運動による自然な発汗だけでなく、自律神経の働きや緊張、頭部・顔面多汗症などが関係している可能性があります。

頭部は体温調節に関わる重要な発汗部位であり、精神的な負荷にも反応しやすい特徴があります。日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」でも、頭部・顔面の発汗について独立した診療アルゴリズムが示されています。2026年11月時点でも、同ガイドライン(2023年12月一部改訂版)は日本皮膚科学会の一般公開ガイドライン一覧に掲載されています。

大切なのは、汗の量だけで判断しないことです。いつから始まったのか、暑くない場所でも出るのか、睡眠中にも続くのか、日常生活にどの程度影響しているのかによって、考えられる原因や対処法は変わります。

【仕組みを解説】頭皮から汗が出るのはなぜ?エクリン汗腺と自律神経の働き

頭皮からの汗

頭皮の汗を理解するには、まず人間の発汗システムを知る必要があります。汗は単に体から排出される水分ではなく、体温を一定に保ち、皮膚の状態を維持するための重要な生理機能です。

頭皮の発汗を担うエクリン汗腺とは

人間の汗を作る代表的な器官がエクリン汗腺です。エクリン汗腺はほぼ全身の皮膚に分布し、額や頭部にも存在しています。

汗腺は大きく分泌部と汗管に分かれます。分泌部で作られた汗は汗管を通り、皮膚表面の汗孔から排出されます。

汗が皮膚表面で蒸発するときに熱が奪われるため、体温の上昇を抑えられます。これが温熱性発汗です。

日本皮膚科学会のガイドラインでも、エクリン汗腺は主として体温調節を担う器官と説明されています。頭皮から汗が出ること自体は、身体の正常な機能の一つです。

発汗をコントロールする自律神経の仕組み

頭皮の発汗には自律神経が深く関係しています。

暑さなどによって体温が上昇すると、脳の視床下部にある体温調節機構が働きます。その情報が交感神経を介して汗腺に伝わり、発汗が促されます。

興味深いのは、汗腺に指令を伝える交感神経の神経伝達物質が、一般的な交感神経の多くで使われるノルアドレナリンではなく、アセチルコリンである点です。

神経終末から放出されたアセチルコリンがエクリン汗腺の受容体に作用すると、汗の分泌が起こります。

つまり、頭皮の汗は単純に体温だけで決まるものではありません。脳の働きや自律神経を通じた情報伝達によっても変化します。

頭部はほかの部位より汗が出やすいことがある

頭部・顔面の発汗には、脳を高温から守るための冷却機能があると考えられています。

日本皮膚科学会の2023年改訂版では、頭部・顔面はほかの全身部位と比べて発汗が始まる体温の閾値が低く、全身に目立った発汗が起きない状況でも頭部の汗が出ることがあると説明されています。

そのため、周囲の人が汗をかいていないのに、自分だけ額や頭皮が濡れてしまうこともあります。必ずしも異常とは限りませんが、発汗量が過剰で生活に支障がある場合には、多汗症の可能性も考える必要があります。

【原因を徹底整理】頭皮からの汗が多い・止まらない6つの理由

頭皮から汗が流れる原因は一つではありません。日常的な温熱刺激から、精神的な緊張、病気に伴う発汗まで、複数の要因が考えられます。

1.気温の上昇や運動による温熱性発汗

もっとも一般的なのは、暑さや身体活動による発汗です。

気温が高い場所にいるときや、ウォーキング、ランニング、階段の上り下りなどで筋肉の活動量が増えたときには、体温を下げるために汗が分泌されます。

頭部は発汗が始まりやすい部位でもあるため、運動後に髪の毛が濡れたり、額から汗が流れたりすることは珍しくありません。

また、帽子やヘルメットを長時間着用すると、頭部の熱がこもり、汗が蒸発しにくくなることもあります。

2.緊張やストレスによる精神性発汗

暑くないのに頭から汗が流れる場合、精神的な刺激が関係している可能性があります。

例えば、次のような場面です。

  • 人前で発表するとき
  • 面接や重要な会議の直前
  • 初対面の人と話すとき
  • 強い不安やプレッシャーを感じたとき
  • 人から汗を指摘されることを心配しているとき

緊張や恐怖、不安などの精神的負荷は、脳の情動に関わる神経回路を通じて発汗を引き起こします。

特に頭部・顔面では、精神的な刺激に対して過剰に反応し、発汗が長時間続く場合があります。

日本皮膚科学会のガイドラインでも、緊張などの精神的負荷に対して病的に過度な反応が起こり、頭部・顔面に持続的な大量発汗が生じることが説明されています。

ここで注意したいのは、ストレスが原因だからといって、必ずしも心理的な問題だけで説明できるわけではないということです。発汗そのものが強い不安を生み、その不安がさらに汗を増やすという悪循環も考えられます。

3.原発性頭部顔面多汗症

頭皮の汗が多い状態が長期間続き、気温や運動だけでは説明できない場合、原発性頭部顔面多汗症が考えられます。

これは頭部や顔面に必要以上の発汗が生じ、日常生活に支障をきたす状態です。

特徴としては、次のようなものがあります。

  • 少し緊張しただけで頭皮や額から大量の汗が出る
  • 涼しい室内でも頭部だけ汗をかく
  • 髪の毛が濡れるほど汗が出る
  • 汗を拭いても短時間で再び濡れる
  • 仕事や人付き合いに支障が出ている

原発性局所多汗症は、明らかな基礎疾患が見つからない状態で発汗機能が過剰になる病気です。汗腺の数や大きさが異常に増えているというより、発汗機能の亢進が関係すると考えられています。

4.辛い食べ物による味覚性発汗

唐辛子を使った料理や刺激の強い食べ物を食べたとき、額や頭皮に汗をかくことがあります。

これは味覚性発汗と呼ばれる現象です。

唐辛子に含まれるカプサイシンなどの刺激成分が温度感受性受容体に作用し、発汗を誘発します。

辛い料理を食べた直後だけ頭皮に汗が出る場合は、こうした反応が関係している可能性があります。

5.甲状腺疾患・感染症・低血糖などの続発性多汗症

発汗が増える背景には、ほかの病気が隠れている場合もあります。

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、続発性多汗症の原因として、次のような疾患や状態が挙げられています。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 低血糖
  • 感染症
  • 循環器疾患
  • 神経学的疾患
  • 内分泌・代謝疾患
  • 薬剤による発汗

例えば、甲状腺機能亢進症では代謝が活発になり、発汗の増加に加えて動悸や手の震え、体重減少などが現れることがあります。

感染症では発熱に伴って汗が増える場合があります。低血糖でも冷や汗が生じることがあります。

また、服用している薬が発汗に影響する可能性もあります。新しい薬を飲み始めた時期と汗の増加が重なる場合には、医師や薬剤師に相談してください。

6.自律神経の反応や生活環境の影響

睡眠不足や疲労、精神的な負担などは、発汗が気になる状況と重なることがあります。

ただし、自律神経の乱れだけを頭皮の多汗の原因と決めつけることはできません。原発性多汗症の詳しい発症メカニズムも、すべてが解明されているわけではありません。

発汗が続く場合は、生活習慣だけでなく、基礎疾患や薬剤の影響も含めて考えることが大切です。

【見分け方と比較表】頭皮の汗と頭部顔面多汗症はどう違う?

頭皮から汗が出ることと、医学的な多汗症は同じではありません。

重要なのは、発汗が起こる条件、継続期間、身体のどこに汗が出るのか、そして日常生活への影響です。

汗の出方から考える主な原因の違い

それぞれの特徴を整理すると、以下のようになります。

発汗の種類・原因 主な特徴 判断のポイント 対応の目安
温熱性発汗 暑さや運動によって頭部や全身に汗が出る 気温や活動量と連動する 冷却・水分補給・休息
精神性発汗 緊張や不安によって頭皮や顔に汗が出る 会議や面接など特定の場面で起こる ストレス管理・症状の記録
味覚性発汗 辛い料理などを食べると汗が出る 食事の刺激と発汗が連動する 刺激物の量を調整する
原発性頭部顔面多汗症 頭部や顔面に過剰な発汗が繰り返される 長期間続き、生活に支障がある 皮膚科で診断・治療を相談
続発性多汗症 病気や薬剤などが背景となって汗が増える 突然の発症、全身性の発汗、ほかの症状を伴うことがある 皮膚科・内科で原因を調べる

この比較から分かるのは、汗が多いという一点だけでは原因を判断できないということです。

例えば、運動中に頭皮から汗が流れる場合と、冷房の効いた部屋で座っているだけなのに髪が濡れる場合では、考えるべき原因が異なります。

原発性局所多汗症の診断基準とは?

日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」では、原発性局所多汗症について、明らかな原因がないまま局所的な過剰発汗が6カ月以上続き、以下の6項目のうち2項目以上を満たすことを診断基準としています。

  • ① 発症年齢:最初に症状が出たのが25歳以下である。
  • ② 左右対称性:左右対称に発汗が見られる。
  • ③ 睡眠中の発汗:睡眠中は発汗が止まっている。
  • ④ 発汗頻度:1週間に1回以上、多汗のエピソードがある。
  • ⑤ 家族歴:家族にも同じような症状がある。
  • ⑥ 生活への影響:発汗によって日常生活に支障をきたしている。

ここで重要なのは、6項目すべてに該当する必要はないという点です。6カ月以上の過剰な局所発汗があり、6項目中2項目以上を満たすことが基準となります。

また、この基準は医師が診断するためのものです。自己チェックだけで病気を確定することはできません。

睡眠中に汗をかく場合は注意が必要

原発性局所多汗症では、睡眠中に発汗が止まることが診断項目の一つになっています。

そのため、寝ている間も頭や身体が大量の汗で濡れる場合は、原発性局所多汗症だけで説明できるとは限りません。

寝室の温度や寝具による影響もありますが、夜間の発汗が繰り返される場合や、発熱・体重減少などを伴う場合には、感染症や内分泌疾患などを含めて調べる必要があります。

特に、これまで汗が少なかった人が急に大量の汗をかくようになった場合は、年齢や体質のせいだと決めつけないことが大切です。

頭皮の汗が多く、仕事や勉強、人付き合いに影響が出ている場合は、医療機関で治療を相談できます。

2026年11月時点で日本皮膚科学会が公開している基本的な診療指針は、2023年改訂版(2023年12月一部改訂)です。

このガイドラインでは、頭部・顔面多汗症についても治療方法が整理されています。ただし、治療ごとに推奨度や保険適用の条件が異なるため、すべての患者に同じ治療が行われるわけではありません。

1.塩化アルミニウム外用療法

頭部・顔面多汗症に対する外用治療の選択肢として、塩化アルミニウム製剤があります。

2023年改訂版の診療アルゴリズムでは、頭部・顔面に対して10~20%塩化アルミニウム溶液の単純外用が推奨度C1として示されています。

塩化アルミニウムは、汗管の出口付近に作用して汗の排出を抑える仕組みです。

ただし、頭部・顔面に対するエビデンスは十分とはいえず、推奨度C1は「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」という位置づけです。

また、刺激性接触皮膚炎やかゆみ、赤みなどが生じる可能性があります。頭皮用として適切な製剤や濃度、使用方法を医師に確認が必要です。市販の制汗剤を自己判断で頭皮に使用することは避けましょう。

2.抗コリン薬などの内服治療

抗コリン薬は、発汗に関係するアセチルコリンの作用を抑えることで、汗の分泌を減らす薬です。

日本皮膚科学会の診療アルゴリズムでは、頭部・顔面多汗症に対する内服治療も推奨度C1の選択肢として示されています。

ただし、抗コリン薬は発汗だけに作用するわけではありません。口の渇き、便秘、排尿障害、視覚への影響などが起こる場合があります。

特に、緑内障や排尿に関する問題がある人、高齢者などは、薬剤の選択に注意が必要です。

なお、外用抗コリン薬は部位によって推奨度が異なります。頭部・顔面については、2023年改訂版のCQで推奨度C2とされており、腋窩などで使われる治療をそのまま頭皮にも適用できるわけではありません。

3.A型ボツリヌス毒素の局所注射

A型ボツリヌス毒素(BT-A)を発汗部位に注射する治療も、頭部・顔面多汗症に対する選択肢です。

ボツリヌス毒素は神経終末からのアセチルコリン放出を抑制し、汗腺への発汗指令を弱めます。

日本皮膚科学会の2023年改訂版では、頭部・顔面へのBT-A局所注射について、50~100単位を目安とした治療が推奨度C1で掲載されています。

ただし、頭部・顔面へのボツリヌス毒素注射は保険適用外です。注射する部位や量、期待できる効果、副作用、費用について、事前に医師から説明を受ける必要があります。

4.神経ブロックや心理療法

緊張や精神的負荷によって発汗が強くなるケースでは、神経ブロックや精神・心理療法が検討されることもあります。

心理療法は、汗が出ることへの不安や緊張を軽減し、発汗による生活上の負担を小さくすることを目指すものです。

心理的な治療は、頭皮の汗がすべて精神的な問題によって起こっていると判断するものではありません。身体的な治療と組み合わせる選択肢として考えられます。

5.交感神経遮断術は慎重な検討が必要

交感神経遮断術(ETS)は、交感神経の働きを遮断する外科的治療です。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、頭部・顔面多汗症に対するETSは条件付き推奨度C1とされています。

ただし、手術後に別の部位から大量の汗が出る代償性発汗が問題になります。頭部・顔面の多汗症に対する手術は、一般的なセルフケアや初期治療の代わりとして気軽に選ぶものではありません。

保存的な治療で改善が得られず、症状が非常に重い場合などに、専門医と十分に相談して慎重に判断する治療です。

【日常でできる対策】頭皮の汗を抑えるケアと臭いを防ぐ方法

医療機関での治療と並行して、日常生活の環境を整えることも大切です。

生活習慣の改善だけで多汗症が治るとは限りませんが、汗による不快感や頭皮の蒸れを軽減することはできます。

1.頭部に熱がこもらないようにする

帽子やヘルメットを長時間着用すると、頭部の熱がこもりやすくなります。

安全上必要なヘルメットは適切に着用しつつ、休憩時には安全な場所で外して頭部を冷やすなど、熱がこもる時間を減らしましょう。

通気性のよい帽子や吸汗性のある素材を選ぶことも役立ちます。

2.汗をかいたら早めに拭き取る

頭皮に汗が残り続けると、髪の毛が濡れた状態になり、不快感や蒸れにつながります。

汗をかいたときは、清潔なタオルで頭皮や生え際を優しく押さえるように拭きましょう。

ゴシゴシこすると頭皮に刺激を与えるため、摩擦を避けることがポイントです。

3.洗髪は頭皮を中心に丁寧に行う

頭皮の臭いやベタつきが気になる場合は、洗髪方法を見直しましょう。

  • シャンプーを頭皮全体に行き渡らせる。
  • 爪を立てず、指の腹で優しく洗う。
  • 生え際や後頭部まで十分にすすぐ。
  • 洗髪後は頭皮を濡れたまま放置しない。
  • ドライヤーで髪の根元まで乾かす。

洗浄力の強いシャンプーを何度も使用したり、必要以上に頭皮をこすったりすると、かえって頭皮の刺激になる場合があります。

洗髪の回数は頭皮の状態や汗の量に合わせ、無理のない範囲で調整しましょう。

4.頭皮の汗と臭いは別の問題として考える

頭皮から汗が多く出ると、臭いも強くなるのではないかと心配する人は少なくありません。

しかし、汗をかくことと、頭皮が臭うことは必ずしも同じではありません。

花王の頭皮研究情報によると、分泌直後の汗や皮脂そのものには、気になる臭いはほとんどありません。時間が経過するなかで皮膚常在菌による分解や皮脂の酸化が進み、臭いの原因物質が生じます。

汗を多くかくと、頭皮上の水分や皮脂の状態が変化し、臭いが発生しやすくなることがあります。

つまり、頭皮の臭い対策では、汗を無理に止めることだけでなく、皮脂や汚れを適切に洗い流すことも重要です。

5.緊張による発汗にはリラックス習慣を取り入れる

人前に出ると頭皮から汗が出る場合には、緊張を強める状況を把握することも有効です。

例えば、次のような習慣が考えられます。

  • 会議や面接の前にゆっくり呼吸する。
  • 睡眠時間を確保する。
  • 緊張しやすい場面を事前に想定しておく。
  • 発汗を過度に意識しすぎないようにする。
  • 必要に応じて医療機関で心理的なサポートを相談する。

ただし、リラックスすれば必ず汗が止まるわけではありません。発汗が強く、仕事や社会生活に支障がある場合は、医療的な治療も検討しましょう。

6.汗が出る状況を記録する

意外に役立つのが、発汗の記録です。

いつ、どのような環境で、どの程度汗をかいたのかを記録しておくと、原因を考える手掛かりになります。

  • 汗をかいた時間帯
  • 気温や室温
  • 運動や仕事の内容
  • 緊張やストレスの有無
  • 食事や飲み物の内容
  • 睡眠中にも汗をかくか
  • 服用している薬

こうした情報は、皮膚科で診察を受ける際にも役立ちます。

【受診の判断基準】頭皮の汗で皮膚科に行くべき症状とは?

頭皮の汗は自然な生理現象でもあるため、すべての発汗について受診する必要はありません。

しかし、汗の量が明らかに多い場合や、日常生活に影響している場合は、皮膚科で相談する価値があります。

皮膚科への受診を検討したい5つのケース

次のような状況に当てはまる場合は、医療機関への相談をおすすめします。

  • ① 頭皮から大量の汗が繰り返し出る:涼しい室内でも髪が濡れるほど汗をかく。
  • ② 半年以上症状が続いている:長期間にわたり発汗量が多く、改善しない。
  • ③ 仕事や人間関係に影響している:汗が気になって人前に出ることを避けてしまう。
  • ④ 緊張すると発汗が激しくなる:会議や面接などで頭皮や顔から大量の汗が出る。
  • ⑤ 急に発汗量が増えた:以前とは明らかに違う汗の出方になった。

特に、症状が長く続いている場合や、生活の質が低下している場合には、我慢し続ける必要はありません。

内科での検査も検討したい症状

頭皮だけでなく全身に汗が増えている場合や、発汗以外の症状がある場合は、内科的な原因を調べることも重要です。

次のような症状が重なる場合は、皮膚科だけでなく内科や内分泌内科への相談も検討してください。

  • 動悸や脈拍の増加
  • 手の震え
  • 原因が分からない体重減少
  • 発熱や強い倦怠感
  • 睡眠中の大量発汗
  • 急に始まった全身性の発汗
  • 新しい薬の服用後に始まった発汗

これらは甲状腺疾患、感染症、低血糖、薬剤性の発汗などを調べるきっかけになります。

意識がもうろうとする、反応が鈍いなどの症状を伴う場合は、通常の皮膚科受診を待たず、緊急の医療対応が必要です。

皮膚科ではどのような検査をする?

多汗症の診察では、まず問診によって症状の経過や発汗部位、生活への影響などを確認します。

医師が確認する主な内容は次のとおりです。

  • いつから汗が多くなったのか
  • 頭皮だけなのか、顔や身体にも汗が出るのか
  • 暑さや運動との関係
  • 緊張や精神的負荷との関係
  • 睡眠中の発汗の有無
  • 家族に同じ症状があるか
  • 服用している薬や既往歴

必要に応じて血液検査や発汗機能の検査などが検討されます。甲状腺疾患や感染症などの可能性がある場合は、それぞれに応じた検査が行われます。

すべての患者に同じ検査が必要なわけではなく、症状や診察結果によって判断されます。

【頭皮からの汗】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:頭皮だけ汗を大量にかくのは病気ですか?
A1:必ずしも病気ではありません。頭部は体温調節に関係する発汗が起こりやすい部位です。ただし、涼しい場所でも大量の汗が出る、半年以上続く、日常生活に支障がある場合は、原発性頭部顔面多汗症などの可能性があるため皮膚科で相談しましょう。

Q2:緊張すると頭から汗が流れるのはなぜですか?
A2:緊張や不安などの精神的刺激が脳の情動に関わる神経回路を通じて発汗を促すためです。頭部・顔面は精神的な負荷に反応して発汗することがあります。発汗が過剰で長時間続く場合は、頭部顔面多汗症の可能性も考えられます。

Q3:頭皮の汗をすぐに止める方法はありますか?
A3:まずは涼しい場所に移動し、帽子などを外せる環境なら頭部の熱を逃がし、清潔なタオルで汗を優しく拭き取りましょう。多汗症の場合は一時的な冷却だけでは十分に改善しないこともあります。継続する場合は皮膚科で治療を相談してください。

Q4:頭皮の汗が多いと臭くなるのはなぜですか?
A4:汗そのものが必ずしも臭うわけではありません。頭皮の汗や皮脂が時間の経過とともに皮膚常在菌によって分解されたり、酸化したりすることで臭いの原因物質が発生します。適切な洗髪と頭皮の乾燥を心掛けましょう。

Q5:頭部顔面多汗症は治療できますか?
A5:治療の選択肢はあります。日本皮膚科学会の2023年改訂版では、塩化アルミニウム外用、内服療法、A型ボツリヌス毒素の局所注射などが示されています。症状や治療への反応、費用、副作用を踏まえて医師と治療方針を決めます。

Q6:寝ている間も頭皮から汗が出る場合は受診すべきですか?
A6:寝具や室温が原因の場合もありますが、睡眠中の発汗が繰り返される場合は注意が必要です。特に発熱、体重減少、動悸などを伴う場合は、感染症や内分泌疾患などの可能性もあるため医療機関で相談しましょう。

【プロの結論】頭皮の汗は量だけでなく、原因・継続期間・生活への影響で判断する

頭皮から汗が流れる現象には、体温調節という正常な身体機能が関係しています。一方で、緊張やストレスに対する過剰な反応、原発性頭部顔面多汗症、基礎疾患や薬剤による続発性多汗症など、医療的な対応が必要なケースもあります。

特に押さえておきたいのは、頭皮の汗を単純に「汗っかきだから」「自律神経が乱れているから」と決めつけないことです。

日本皮膚科学会の2023年改訂版では、原発性局所多汗症について6カ月以上の過剰な局所発汗と6項目中2項目以上という診断基準が示され、頭部・顔面にも個別の治療アルゴリズムが設けられています。

治療の選択肢も、塩化アルミニウム外用や内服薬、ボツリヌス毒素注射など複数あります。ただし、頭部・顔面の治療には推奨度C1のものや保険適用外のものもあり、医師との相談が欠かせません。

日常生活では、頭部の温度管理、適切な洗髪、汗をかいた後のケア、緊張への対処などを組み合わせることが基本です。

そして、汗の量が急に増えた場合や、睡眠中にも大量の汗が続く場合、動悸や体重減少などを伴う場合には、背景に別の病気がないか確認が必要です。

頭皮の汗対策で最も大切なのは、汗を無理に我慢することではなく、自分の発汗パターンを把握し、必要なタイミングで適切な治療につなげることです。

長く続く頭皮の発汗に悩んでいるなら、日常ケアだけで解決しようとせず、まずは皮膚科で相談してみてください。

主な参考資料・根拠資料

  • 公益社団法人日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版(2023年12月一部改訂)」
  • 日本皮膚科学会雑誌 第133巻第13号(2023年)3025~3056ページ
  • 公益社団法人日本皮膚科学会「汗の病気―多汗症と無汗症―」皮膚科Q&A
  • 慶應義塾大学病院 KOMPAS「多汗症」
  • 長崎大学病院 皮膚科・アレルギー科「患者さんへ:汗の病気」
  • 花王「頭皮・頭髪のニオイ」頭皮の知識

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土屋 澪
トレンドリサーチャー 土屋 澪
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映画と連続ドラマの公開情報を担当。配給会社のプレスシート、作品公式ページ、興行発表の数値をもとに、あらすじは公開時点の内容として書きます。

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