ホーム 芸能ニュース・ゴシップ 【気象のメカニズム】偏西風の蛇行とエルニーニョ現象が2026年夏に与えた影響

【気象のメカニズム】偏西風の蛇行とエルニーニョ現象が2026年夏に与えた影響

三浦 幹太 三浦 幹太 • 更新: • 公開: • 読了約 11 分
目次

2026年夏の気温を押し上げた大きな要因として、気象庁の異常気象分析検討会が指摘したのが、偏西風の北偏と大気循環の変化だ。

単に太平洋高気圧が強かったという説明だけでは、北日本・西日本の高温と東日本の大雨が同時に発生した理由を十分に説明できない。

偏西風が北に蛇行して暖気が流れ込んだ

偏西風は、中緯度地域の上空を西から東へ吹く強い風だ。日本付近の気温や天候は、この風が流れる位置や蛇行の程度によって大きく変わる。

2026年夏は、偏西風が平年より北側を流れやすかった。

その結果、北日本や西日本を中心に暖かい空気に覆われやすくなり、高温傾向が続いた。

特に西日本では、上空のチベット高気圧と太平洋高気圧が関係する背の高い高気圧に覆われ、下降気流が強まった。

下降する空気は圧縮されて温度が上がる。これを断熱昇温という。

加えて、晴天による強い日射や太平洋高気圧の周辺から流れ込む暖気も重なり、7月下旬から8月上旬にかけて厳しい暑さとなった。

エルニーニョ現象は猛暑の直接的な原因だったのか?

2026年は春から顕著なエルニーニョ現象が発生していた。

気象庁の2026年9月1日の分析によると、7月の太平洋赤道域東部の監視海域では、海面水温が基準値より+2.5℃高かった。

これは1997年と並び、7月として過去最大級の値だった。

ただし、エルニーニョ現象が発生すれば必ず日本の夏が猛暑になるというわけではない。

2026年の分析で特に注目されたのは、エルニーニョ現象と台風の発生数との関係だ。

気象庁によると、2026年夏の台風発生数は17個。平年値の11.0個を大きく上回り、1951年の統計開始以降で3位タイの多さとなった。

その背景には、エルニーニョ現象によって偏東風波動の活動が活発になった可能性がある。

一方、日本の高温については、偏西風の北偏や高気圧の停滞、地球温暖化による気温の底上げが重要な要因として分析されている。エルニーニョだけで猛暑を説明することはできない。

2026年夏の気象要因と発生した現象の関係
気象要因 主な影響 2026年の現象
偏西風の北偏 暖気が流れ込みやすくなる 北・西日本の高温
チベット高気圧 下降気流による昇温 西日本の猛暑
太平洋高気圧 晴天と強い日射 高温・少雨
エルニーニョ現象 熱帯域の大気循環に影響 台風発生数の増加に寄与した可能性
偏西風の南北分流 寒冷渦や高気圧の配置に影響 台風第15号・千葉豪雨

特に重要なのは、同じ夏でも気圧配置の違いによって、ある地域では猛暑、別の地域では記録的な大雨が発生することだ。

2026年はその地域差がはっきり表れた夏だった。

【猛暑日・酷暑日】2026年は40℃以上の極端な暑さも発生

今年は冷夏

2026年夏を冷夏と判断できないもう一つの理由が、最高気温の記録だ。

気象庁は2026年4月17日、最高気温40℃以上の日の名称を「酷暑日」と定めた。

従来から使われている猛暑日は最高気温35℃以上の日を指す。酷暑日は、それをさらに上回る40℃以上の日を区別するための新しい呼称だ。

2026年夏の酷暑日観測状況

気象庁が9月1日に公表した観測結果によると、2026年6〜8月には、気象官署とアメダスを合わせた914地点のうち、22地点で40℃以上を観測した。




酷暑日を観測した地点

22地点




観測の延べ地点数

36地点



2010年以降で最多の酷暑日観測地点数(延べ地点数)
過去最多
出典:気象庁「2026年夏に酷暑日を観測した地点」

7月21日には岐阜県多治見市で40.3℃、7月23日には静岡県浜松市天竜区の佐久間で41.1℃を観測するなど、東海地方を中心に40℃を超える気温が相次いだ。

また、7月下旬から8月初めにかけては東日本・西日本で厳しい暑さとなり、8月下旬にも九州地方で酷暑日が観測された。

猛暑日が少なくなっても冷夏とは限らない

ここで注意したいのが、猛暑日の発生回数と夏の平均気温は別の統計だという点だ。

例えば、2025年より2026年の猛暑日が少なかったとしても、それだけで冷夏とは判断できない。

- 猛暑日:35℃以上の日の発生状況を示す。
- 酷暑日:40℃以上の日の発生状況を示す。
- 夏季平均気温:6〜8月の気温全体を評価する。
- 気温偏差:平年の平均気温との差を示す。

2026年は、全国平均の高温傾向と40℃以上の極端な高温が同時に確認された。

暑さを評価する場合には、最高気温の記録だけでなく、夏全体の平均気温も合わせて見る必要がある。

【2025年夏との比較】2026年は涼しくなったが冷夏ではない

「2026年は去年より涼しかった」という感覚には、実際の統計的な根拠がある。

2025年夏は、1898年の統計開始以来、最も高温だった。

気象庁によると、2025年の全国平均気温偏差は+2.36℃。2026年の+1.02℃と比較すると、2026年は1.34℃低かった。

しかし、これは前年との比較であり、平年より涼しかったという意味ではない。

1898年以降の夏季平均気温ランキング

気象庁の公表データから、上位の記録を整理すると次のようになる。


夏季平均気温偏差・上位記録


{#each [{year:"2025年",v:"+2.36℃",rank:"1位"},{year:"2024年",v:"+1.76℃",rank:"2位タイ"},{year:"2023年",v:"+1.76℃",rank:"2位タイ"},{year:"2010年",v:"+1.08℃",rank:"4位"},{year:"2026年",v:"+1.02℃",rank:"5位"}] as item}


{item.year}



{item.v}
{item.rank}






{/each}
出典:気象庁「日本の季節平均気温」。1991〜2020年の平年値からの偏差。

このランキングから、2026年の位置づけが明確になる。

2025年ほど記録的ではないものの、2026年も歴史的に見て上位に入る高温だった。

2025年と2026年では暑さの現れ方も違った

2025年は北日本・東日本・西日本のすべてで夏の平均気温が1946年以降の最高記録となった。

一方、2026年は北日本・西日本でかなり高く、東日本では高いという結果だった。

つまり、2025年は全国的な記録的猛暑、2026年は地域差を伴う高温という違いがある。

降水量にも大きな差が見られた。

2025年は北日本・東日本の太平洋側を中心に少雨だったのに対し、2026年は東日本太平洋側や沖縄・奄美で多雨となった。

前年の猛暑と少雨の印象が強ければ、2026年は比較的涼しく感じられたとしても不思議ではない。しかし、気象統計上の評価は別である。

【今年は冷夏に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:2026年は本当に冷夏ではなかったのですか?

A1:はい。気象庁の観測では、2026年夏の全国平均気温偏差は+1.02℃で、1898年以降5番目の高さでした。北日本・西日本では平均気温がかなり高く、冷夏には該当しません。

Q2:2026年夏は2025年より涼しかったのですか?

A2:全国平均気温偏差で比較すると、2025年は+2.36℃、2026年は+1.02℃です。2026年のほうが1.34℃低く、前年より暑さは弱まりました。ただし、平年よりはかなり高温の夏でした。

Q3:2026年に東日本で涼しく感じられた理由は何ですか?

A3:東日本太平洋側では梅雨前線や台風、湿った空気の影響で雨が多く、8月には千葉豪雨も発生しました。天候や時期によって気温が上がりにくい日があったことが、涼しいという印象につながった可能性があります。ただし、東日本全体の夏季平均気温は平年より0.8℃高くなっています。

2026年夏の気象庁データを総合すると、「今年は冷夏」という見方は統計的には正しくない。

全国の平均気温偏差は+1.02℃で、1898年以降5番目の高さだった。北日本・西日本では顕著な高温となり、40℃以上の酷暑日も延べ36地点で観測された。

一方、東日本太平洋側では降水量が平年比133%となり、台風や千葉豪雨などの影響が目立った。沖縄・奄美でも降水量が多く、地域によって夏の過ごしやすさや天候の印象が大きく異なっていた。

2026年夏を正しく評価するためには、次の3点を押さえておきたい。

1. 前年との比較だけで冷夏と判断しない。 2025年より涼しくても、平年より暑ければ冷夏ではない。
2. 全国平均と地域別の気温を区別する。 東日本の大雨や沖縄・奄美の平年並みの気温だけでは、全国の夏を評価できない。
3. 気温・降水量・日照時間を総合的に見る。 暑さと雨の多さは必ずしも反比例しない。

2026年は、前年の記録的猛暑からは暑さが落ち着いたものの、長期的な気候の変化を考えれば依然として高温傾向が続いた夏だった。

特に注目すべきなのは、気象庁が示す日本の夏季平均気温の長期上昇率が、100年あたり1.41℃に達している点だ。

一時的に涼しく感じる日が増えたとしても、それだけで日本の夏が涼しくなったとは判断できない。今後も気温偏差、地域別の気候統計、猛暑日や酷暑日の発生状況を継続して確認することが、夏の気候変化を正しく理解するための重要な判断基準となる。

主な資料:気象庁「2026年夏(6月〜8月)の天候」「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」「日本の季節平均気温」「日本の地域平均気候表」「季節予報に関するFAQ」。

同じカテゴリの記事

三浦 幹太

暮らし・旅行・グルメの話題を担当。自治体や施設の公式サイト、観光協会の発表を一次情報とし、季節や営業時間の情報は更新日を明記します。

おすすめの関連記事