2026年の防御率ランキングで注目すべきなのは、ミジオロウスキーが両リーグを通じて1位となり、シュリットラーがア・リーグ1位を獲得したことだ。
MLB公式のレギュラーシーズン成績による上位選手は次のとおり。順位は防御率の低い順で、ポストシーズンの成績は含めていない。
2026年MLB防御率ランキングTOP10
対象:2026年レギュラーシーズン/規定投球回到達者
出典:MLB.com 2026年レギュラーシーズン投手成績。IPの末尾 .1 は1アウト、.2は2アウトを表す。
ランキングの要点は3つある。
- MLB全体1位:ミジオロウスキー(1.80)
- ア・リーグ1位:シュリットラー(1.95)
- ナ・リーグ3位:山本由伸(2.53)
ミジオロウスキーとシュリットラーは、それぞれ異なるリーグの防御率タイトルを獲得。山本も全体5位という高い位置でシーズンを終えた。
なお、2026年のMLB公式統計では、防御率だけでなく投球回、被安打、自責点、奪三振、WHIPなども確認できる。単純な順位だけでは読み取れない投球内容まで比較できる点が特徴だ。
【注目投手を徹底比較】ミジオロウスキー、シュリットラー、山本由伸の実力

今回のランキングを象徴する3人は、いずれも先発投手として規定投球回をクリアしている。
しかし、投球内容にはそれぞれ異なる特徴がある。
1. ジェイコブ・ミジオロウスキー:防御率1.80でMLB全体1位1.80
2026年レギュラーシーズン
- 勝敗:16勝5敗
- 投球回:174回2/3
- 奪三振:252
- WHIP:0.80
ミジオロウスキーは2026年、ブルワーズのエースとして圧倒的なシーズンを送った。
MLB公式の9月27日付シーズン総括によると、最終登板ではカージナルスを相手に5回1/3を無失点で投げ、シーズン防御率を1.80に確定させた。
加えて、奪三振252はメジャー全体最多。WHIPも0.80でトップとなり、被打率は.157だった。
平均100.6マイルの速球を武器に、打者を力で押し込む投球が大きな特徴だった。防御率だけでなく、奪三振と走者を出さない能力の両方でリーグをリードした点に価値がある。
2. キャム・シュリットラー:ヤンキース史に残る防御率1.951.95
2026年レギュラーシーズン
- 勝敗:14勝6敗
- 投球回:193回2/3
- 奪三振:239
- WHIP:0.92
シュリットラーの2026年は、ヤンキースの歴史を振り返っても特筆すべきシーズンとなった。
MLB公式の9月25日付報道では、防御率1.95は150イニング以上を投げたヤンキース投手として、1913年にア・リーグで自責点が公式記録になって以降、球団史上3番目に低い数字と紹介されている。
加えて、2026年のア・リーグでは防御率トップ。1.95という数字は、ジャスティン・バーランダーが2022年に記録した1.75以来、同リーグで最も低い防御率だった。
注目したいのは、193回2/3という投球回数だ。単に登板した試合で失点を抑えただけでなく、長いイニングを投げながら安定した結果を残した。
3. 山本由伸:防御率2.53でMLB全体5位2.53
2026年レギュラーシーズン
- 勝敗:14勝9敗
- 投球回:185回
- 奪三振:182
- WHIP:0.87
山本由伸は、ドジャースの先発ローテーションを支える存在として2026年も安定した数字を残した。
防御率は2.53でMLB全体5位。ナ・リーグではミジオロウスキー、クリス・セールに続く3位だった。
特に注目したいのがWHIP0.87。シュリットラーの0.92を下回っており、1イニング当たりの被安打と与四球を合わせた走者の出塁抑制では、非常に優れた数字を残している。
また、185イニングを投げ切ったことも評価材料だ。防御率2点台を維持しながら、シーズンを通じて先発投手としての役割を果たした。
山本の成績を見るときは、単に防御率の順位だけでなく、投球回数とWHIPも合わせて確認したい。
【防御率の計算方法】MLBの自責点とERAの仕組みを解説
MLBの防御率を理解するうえで欠かせないのが、自責点という考え方だ。
防御率は、投手が9イニングを投げた場合に平均何点の自責点を許すかを示す指標である。
防御率の公式\[
\text{防御率}=\frac{\text{自責点}\times9}{\text{投球回}}
\]
例えば、投手が100イニングを投げて20自責点を記録した場合は次の計算になる。
\[
\frac{20\times9}{100}=1.80
\]
つまり、防御率1.80となる。
この数字は、9イニング換算で平均1.80点の自責点を許したことを意味する。
自責点と失点は何が違う?ここが防御率を理解する最大のポイントだ。
- 失点(R): 相手チームに入った得点の合計。
- 自責点(ER): 失策や捕逸など、守備側のミスがなければ防げたと判断される得点を除いたもの。
例えば、野手が送球エラーをして打者が出塁し、その後に走者がホームへ戻ってきた場合、公式記録員の判断によっては自責点にならない。
一方、投手が交代した後に、前の投手が出した走者がホームに戻った場合、その得点は原則として前の投手に記録される。
つまり、得点が入ったときにマウンドにいた投手が、必ずしもその自責点を負うわけではない。
MLB公式の自責点解説でも、失策や捕逸の影響を受けずに入った得点を自責点として扱うことが示されている。
2026年の上位投手で計算を確認実際の数字に当てはめると、ランキングの意味がさらに分かりやすい。
ミジオロウスキーの場合
- 自責点:35
- 投球回:174回2/3(174.666...イニング)
\[
\frac{35\times9}{174.666...}\fallingdotseq1.80
\]
シュリットラーの場合
- 自責点:42
- 投球回:193回2/3
\[
\frac{42\times9}{193.666...}\fallingdotseq1.95
\]
山本由伸の場合
- 自責点:52
- 投球回:185回
\[
\frac{52\times9}{185}\fallingdotseq2.53
\]
このように、MLBの防御率は自責点と投球回数によって決まる。失点数だけを見ても、正確な防御率は計算できない。
【MLB規定投球回とは?】防御率ランキングに必要な162イニングの条件
MLBの防御率ランキングを見るときに注意したいのが、規定投球回だ。
どれだけ低い防御率を記録しても、投球回数が基準に達していなければ、防御率タイトルの公式な資格を得られない。
2026年の規定投球回は162イニングMLB公式ルール9.22では、投手が防御率の個人タイトルを獲得するためには、所属リーグの予定試合数と同じ数以上の投球回を記録する必要がある。
2026年のMLBレギュラーシーズンは各球団162試合が基本となるため、規定投球回は162イニングだ。
なお、試合が中止になっても、資格判定では予定試合数が基準となる。
規定投球回をクリアした2026年の注目選手| 選手 | 投球回 | 規定との差 |
|---|---|---|
| ミジオロウスキー | 174.2 | +12回2/3 |
| シュリットラー | 193.2 | +31回2/3 |
| 山本由伸 | 185.0 | +23回 |
| クリス・セール | 162.2 | +2回2/3 |
4人とも規定投球回をクリアしている。
特にセールは162回2/3で、規定投球回をわずかに上回った。一方、シュリットラーは193回2/3と、上位陣の中でも豊富な投球回数を記録している。
規定投球回未満でも防御率が優秀な投手はいる?もちろんいる。
例えば、救援投手が短いイニングで無失点を続ければ、防御率は0.00や1点台になることもある。
しかし、数イニングだけの防御率と、年間162イニング以上を投げた先発投手の防御率を同列に比較するのは適切ではない。
そのため、MLBの公式ランキングでは、規定投球回に達していない選手が防御率タイトルの対象から外れる。
なお、規定投球回は防御率タイトルの資格基準であり、選手の実力を評価する唯一の基準ではない。
【ERA+とFIPの比較】WHIPも含めて投手成績を正しく読む
防御率は非常に便利な指標だが、それだけで投手の実力を完全に判断できるわけではない。
そこで使われるのが、ERA+、FIP、WHIPといったセイバーメトリクスの指標だ。
ERA+:リーグ平均と球場の影響を補正するERA+は、防御率をリーグ平均や球場の特性などに合わせて調整した指標だ。
基準は100で、次のように読む。
- ERA+100:リーグ平均
- ERA+120:リーグ平均より20%優秀
- ERA+150:リーグ平均より50%優秀
- ERA+80:リーグ平均より20%低い評価
通常の防御率は低いほど優秀だが、ERA+は高いほど優秀になる。
例えば、打者有利の球場で投げる投手と、投手有利の球場で投げる投手では、同じ防御率でも難易度が違う。
ERA+は、そうした条件の違いを調整して比較するための指標だ。
FIP:投手自身がコントロールしやすい結果を見るFIPはFielding Independent Pitchingの略称で、日本語では守備から独立した投球指標と説明される。
主に次の結果を評価する。
- 被本塁打
- 与四球
- 死球
- 奪三振
一般的な計算式は以下のとおり。
\[
FIP=\frac{13HR+3(BB+HBP)-2K}{IP}+C
\]
HRは被本塁打、BBは与四球、HBPは死球、Kは奪三振、Cは年度ごとの調整定数を表す。
FIPでは野手の守備力や、インプレー打球の結果による影響をできるだけ取り除く。
例えば、防御率が低くてもFIPが高い場合、守備の好プレーや運によって失点が抑えられている可能性がある。
反対に、防御率よりFIPが低い場合は、今後の防御率改善が期待できるケースもある。
ただし、FIPだけで将来の成績が確定するわけではない。
WHIP:1イニング当たりの走者数を把握するWHIPは、投手がどれだけ走者を出したかを測定する指標だ。
\[
WHIP=\frac{被安打+与四球}{投球回}
\]
例えば、185イニングで被安打119、与四球42だった山本由伸の場合は、
\[
\frac{119+42}{185}=0.87
\]
となる。
WHIPは低いほど優秀だ。
なお、死球、失策による出塁、野手選択などは通常のWHIPの計算に含まれない。
4つの指標を比較| 指標 | 評価する内容 | 優秀な方向 |
|---|---|---|
| ERA | 自責点の少なさ | 低い |
| ERA+ | リーグ・球場補正後の防御率 | 高い |
| FIP | 奪三振・四球・被本塁打など | 低い |
| WHIP | 被安打と与四球による出塁 | 低い |
2026年の3人を比較すると、興味深い違いが見えてくる。
| 選手 | ERA | WHIP |
|---|---|---|
| ミジオロウスキー | 1.80 | 0.80 |
| シュリットラー | 1.95 | 0.92 |
| 山本由伸 | 2.53 | 0.87 |
山本は防御率では3人の中で3番目だが、WHIPはシュリットラーを上回っている。
この違いは、WHIPと防御率が同じものを測定しているわけではないことを示している。
プロの投手評価では、ERAで結果を確認し、WHIPで走者管理を見て、FIPで守備の影響を除いた投球内容を確認する。 これが数字を読み違えないための基本だ。
【MLB歴代防御率ランキング】通算1位はエド・ウォルシュ
2026年のランキングだけでなく、MLBの長い歴史の中で最も優秀な防御率を残した投手も気になるところだ。
MLB公式の通算防御率ランキングでは、エド・ウォルシュが歴代1位となっている。
1.82
通算投球回:2,964回1/3
ウォルシュは1904年から1917年にかけてMLBでプレーした右投手で、1908年には40勝を記録した。
アメリカ野球殿堂の公式プロフィールでも、通算防御率1.82は歴代最高として紹介されている。
MLB通算防御率ランキング上位5人| 順位 | 選手 | 通算防御率 |
|---|---|---|
| 1 | エド・ウォルシュ | 1.82 |
| 2 | アディ・ジョス | 1.89 |
| 3 | モーデカイ・ブラウン | 2.06 |
| 4 | ジョン・ウォード | 2.10 |
| 5 | クリスティ・マシューソン | 2.13 |
ここで注意したいのは、歴代通算ランキングとシーズンランキングは別物だということだ。
例えば、ミジオロウスキーの2026年防御率1.80は、ウォルシュの通算防御率1.82を下回っている。
しかし、これはミジオロウスキーが歴代最高の通算防御率を持つという意味ではない。174回2/3という1シーズンの成績と、2,964回1/3という長期間の通算成績を混同してはいけない。
歴代ランキングを見る際は、シーズン単位なのか通算なのか、投球回数の条件は何かを確認することが大切だ。
【よくある質問】MLB防御率に関するFAQ
Q1:2026年のMLB防御率1位は誰ですか?
A1:ミルウォーキー・ブルワーズのジェイコブ・ミジオロウスキーです。2026年レギュラーシーズンの防御率は1.80で、174回2/3を投げて252奪三振を記録しました。
Q2:2026年のア・リーグ防御率1位は誰ですか?
A2:ニューヨーク・ヤンキースのキャム・シュリットラーです。防御率1.95、193回2/3を記録しました。
Q3:山本由伸の2026年の防御率と順位は?
A3:防御率2.53で、MLB全体5位、ナ・リーグ3位です。185イニング、14勝9敗、WHIP0.87という成績を残しました。
Q4:MLBの規定投球回は何イニングですか?
A4:2026年は162イニングです。各球団の予定試合数と同じ数のイニングを投げることが、防御率タイトル獲得の基本条件となります。
Q5:防御率はどうやって計算しますか?
A5:自責点に9を掛け、投球回数で割ります。例えば、100イニングで20自責点なら防御率1.80です。
Q6:ERA+とFIPはどちらを重視すべきですか?
A6:目的によって異なります。ERA+はリーグや球場の違いを補正した実績比較に向いており、FIPは守備の影響を除いた投球内容の評価に向いています。両方を確認すると判断しやすくなります。
Q7:MLB歴代で最も防御率が低い投手は誰ですか?
A7:通算防御率ではエド・ウォルシュの1.82が歴代最高です。アディ・ジョスの1.89が続いています。
2026年のMLB防御率ランキングは、ジェイコブ・ミジオロウスキーの1.80が全体トップとなり、キャム・シュリットラーが1.95でア・リーグを制した。
山本由伸も2.53でMLB全体5位、ナ・リーグ3位という素晴らしい成績を残している。
今回のランキングから押さえておきたい要点は次のとおりだ。
- 防御率1位はミジオロウスキーの1.80。
- シュリットラーは1.95でア・リーグトップ。
- 山本由伸は2.53でMLB全体5位。
- 規定投球回は162イニング。
- ERA+、FIP、WHIPを組み合わせることで投手の実力をより深く分析できる。
【プロの結論】
MLBの先発投手を評価するとき、防御率だけで順位を決めるのは十分ではない。
年間を通して長いイニングを投げたか、走者をどれだけ抑えたか、守備に左右されない投球内容だったか。この3つの視点を加えることで、数字の奥にある投手の本当の価値が見えてくる。
2026年のミジオロウスキー、シュリットラー、山本由伸は、それぞれ異なる特徴を持ちながら、メジャー最高水準の成績を残した投手たちだ。
今後のMLB防御率ランキングをチェックする際も、ERA・ERA+・FIP・WHIPを組み合わせて比較することが、選手の実力を正しく理解する近道となる。