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【衆議院の優越とは?】両院協議会が必要になるケースと最終決定のルール

小野田 千尋 小野田 千尋 • 更新: • 公開: • 読了約 13 分
目次

首班指名では、衆議院と参議院の投票結果が異なることがあります。

例えば、衆議院が候補者Aを指名し、参議院が候補者Bを指名した場合、どちらの意見を国会全体の決定とするのでしょうか。

この問題を解決するために設けられているのが、両院協議会と衆議院の優越です。

両院協議会とは何をする組織?

両院協議会とは、衆議院と参議院の意見が異なる場合に、両院の代表者が集まって意見を調整するための機関です。

首班指名の場合、日本国憲法第67条第2項に規定があります。

基本的な流れは次のとおりです。

1. 衆議院と参議院がそれぞれ内閣総理大臣を指名する。
2. 両院の指名結果が異なった場合、両院協議会を開く。
3. 両院協議会で意見を調整する。
4. それでも意見が一致しなければ、衆議院の議決が国会の議決となる。

両院協議会は、衆参両院の意見をすり合わせるための仕組みです。ただし、必ずしも両院の合意が成立するとは限りません。

衆議院の優越が認められる2つの条件

憲法第67条第2項では、次の2つの場合に衆議院の議決を国会の議決とすることが定められています。

条件1:両院協議会で意見が一致しない場合

衆議院と参議院が異なる人物を指名し、両院協議会を開いても合意に至らなければ、衆議院の指名が優先されます。

条件2:参議院が10日以内に指名の議決をしない場合

衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に参議院が指名の議決をしなければ、衆議院の議決が国会の議決となります。

この場合、両院協議会で合意を成立させることが前提ではありません。

いずれも、内閣総理大臣を決める手続きが長期間停滞しないようにするための制度です。

衆議院の優越は参議院の投票を無視できる制度ではない

ここは誤解されやすいポイントです。

衆議院の優越があるからといって、参議院の指名投票に意味がないわけではありません。

まず両院がそれぞれ意思決定を行い、異なる結果になった場合に憲法上の調整手続きが適用されます。

また、衆議院の優越は、すべての国会の議決で同じように適用されるものでもありません。法律案、予算、条約の承認、内閣総理大臣の指名など、それぞれ憲法上の規定が異なります。

2026年2月18日の高市氏の首班指名では、参議院でも決選投票の結果、高市氏が指名されました。

つまり、両院の最終的な指名が一致したため、今回の首班指名では衆議院の優越による決着を必要としませんでした。

衆議院の優越は、参議院の存在を否定するものではなく、両院の意見が一致しない場合に国政の停滞を防ぐための制度なのです。

【首班指名はいつ行われる?】内閣総辞職と国会召集の関係

首班指名とは

首班指名は、毎年決まった日に行われる行事ではありません。

内閣総理大臣が交代する必要が生じたときや、衆議院議員の総選挙後に新しい国会が召集されたときなどに実施されます。

① 衆議院議員の総選挙後に初めて国会が召集されたとき

日本国憲法第70条では、衆議院議員の総選挙後、初めて国会が召集された場合、内閣は総辞職しなければならないと定めています。

選挙で与党が勝利し、これまでの総理大臣が引き続き政権を担うと予想される場合でも、例外ではありません。

新しい国会の構成に基づいて、改めて内閣総理大臣を指名する必要があるためです。

例えば、2026年2月18日の高市氏の指名も、第221回国会で行われた首班指名の一つです。

② 内閣総理大臣が欠けたとき

内閣総理大臣が死亡、辞任などによってその地位を離れた場合も、憲法第70条に基づいて内閣は総辞職します。

その後、国会で新しい内閣総理大臣を指名します。

なお、内閣総理大臣が辞任したからといって、その瞬間に行政機能が停止するわけではありません。

憲法第71条により、新しい内閣総理大臣が任命されるまで、従前の内閣が引き続き職務を行います。

③ 衆議院で内閣不信任決議が可決されたとき

もう一つ重要なのが、憲法第69条です。

衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り、総辞職しなければなりません。

この場合も、内閣総理大臣の交代につながれば、新しい首班指名が必要になります。

首班指名が行われるタイミングの整理
状況 首班指名との関係
衆議院議員の総選挙後 初めて国会が召集された際に内閣が総辞職し、指名を行う
総理大臣の辞任 内閣総辞職後、新しい総理大臣を指名する
総理大臣の死亡など 内閣総辞職後、新しい総理大臣を指名する
衆議院の内閣不信任決議 10日以内に衆議院を解散しなければ内閣総辞職となる

なぜ国民は総理大臣を直接選べないのか

「選挙で総理大臣を選べたら分かりやすいのに」と感じる人もいる可能性があります。

しかし、日本は大統領制ではなく、議院内閣制を採用しています。

大統領制では、国民が大統領を直接選ぶ制度を採用している国があります。一方、日本では国民が国会議員を選び、その国会議員が国会で内閣総理大臣を指名します。

その理由は、内閣の存立を国会の信任に結び付けているからです。

具体的には、次のような関係が成立しています。

- 国民:衆議院議員・参議院議員を選挙で選ぶ。
- 国会:国会議員の中から内閣総理大臣を指名する。
- 内閣総理大臣:国務大臣を任命し、内閣を組織する。
- 内閣:行政権を担い、国会に対して連帯して責任を負う。

この仕組みによって、内閣総理大臣は国会との政治的な関係を保ちながら政権を運営します。

また、日本国憲法第67条は、総理大臣を国会議員の中から選ぶと定めています。そのため、国会議員ではない一般の国民が、そのまま首班指名で総理大臣に選ばれることはありません。

【首班指名から組閣まで】天皇による任命と新内閣発足の全手順

首班指名で候補者が決まったからといって、それだけで新内閣のすべての手続きが完了するわけではありません。

国会による指名の後には、天皇による内閣総理大臣の任命や、国務大臣の選任、認証式などが続きます。

STEP1:国会が内閣総理大臣を指名する

最初に、衆議院と参議院で指名投票を行います。

両院の議決が異なる場合は、憲法第67条第2項の規定に基づいて最終的な指名を確定します。

ここで、次の内閣総理大臣となる人物が決まります。

STEP2:新しい総理大臣が国務大臣を選ぶ

国会から指名された人物は、総理官邸で新しい内閣のメンバーとなる国務大臣を選びます。

この作業を「組閣」と呼びます。

日本国憲法第68条では、内閣総理大臣が国務大臣を任命すると定めています。また、国務大臣の過半数は国会議員の中から選ばなければなりません。

組閣では、各省庁を担当する大臣などの人事を決め、新しい政権の運営体制を整えます。

STEP3:天皇が内閣総理大臣を任命する

組閣が進んだ後、皇居で内閣総理大臣の親任式が行われます。

日本国憲法第6条第1項は、天皇が国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命すると規定しています。

ここで重要なのは、天皇が独自に総理大臣を選ぶわけではないという点です。

総理大臣を誰にするか決定するのは国会であり、天皇は憲法に定められた国事行為として任命します。

つまり、国会の指名と天皇の任命は、役割の異なる別々の手続きです。

STEP4:国務大臣の認証式を行う

内閣総理大臣の親任式に続いて、国務大臣の認証式が行われます。

国務大臣は内閣総理大臣によって任命され、その任命に関する認証が天皇によって行われます。

この一連の手続きによって、新しい内閣の構成が整います。

STEP5:辞令交付と初閣議で新内閣が始動する

認証式が終わると、総理官邸で各大臣などへの辞令交付が行われます。

その後、新しい内閣による初閣議が開かれます。

初閣議では、内閣発足に関する事項や政府の運営方針などが確認されます。

首相官邸の内閣制度の説明でも、国会による指名から組閣、親任式、認証式、辞令交付、初閣議という流れが示されています。

2026年2月18日の高市氏の場合はどうだった?

2026年2月18日の第2次高市内閣の発足も、この流れに沿って進みました。

首相官邸の公式記録によると、同日は次のような動きがありました。

- 国会で高市早苗氏が第105代内閣総理大臣に指名される。
- 総理官邸で与党党首会談が行われる。
- 内閣官房長官の木原稔氏から閣僚名簿が発表される。
- 宮中で内閣総理大臣の親任式と国務大臣の認証式が行われる。
- 第2次高市内閣が発足する。
- 総理官邸で記者会見と初閣議が行われる。

このように、首班指名は新政権の成立に向けた最初の重要な段階です。

国会での指名だけでなく、その後の任命や組閣まで完了して初めて、新しい内閣が本格的に動き始めます。

【プロの結論】首班指名を理解するために押さえたい4つのポイント

首班指名のニュースを見る際には、単純に「誰が総理大臣になったか」だけを追うと、制度の本質を見落とします。

特に押さえておきたい判断基準は次の4つです。

1. 最初の投票と決選投票を区別する

最初の投票で過半数に達したのか、それとも決選投票で指名されたのかによって、各議院の政治状況が見えてきます。

2. 衆議院と参議院の結果を両方確認する

衆議院で圧倒的な支持を得ても、参議院では別の候補者に票が集まる可能性があります。両院の結果を比較することが大切です。

3. 衆議院の優越が実際に使われたか確認する

両院で異なる候補者が指名された場合と、両院が同じ候補者を指名した場合では、憲法上の手続きが異なります。

4. 国会の指名と天皇の任命を混同しない

国会が総理大臣を指名し、天皇が任命します。この役割分担を理解すると、日本の議院内閣制がより明確になります。

首班指名は、国会の議席構成、政党間の協力関係、政権の安定性などが反映される政治上の重要な場面です。

2026年2月18日の高市氏の指名は、衆議院での圧倒的な得票と参議院での決選投票という、二院制の特徴がはっきり表れた事例でした。

【首班指名とは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:首班指名と首相指名は何が違う?

A1:制度上の違いはありません。どちらも国会が内閣総理大臣を指名する手続きを意味します。正式には「内閣総理大臣の指名」と呼ばれます。

Q2:首班指名はいつ行われる?

A2:衆議院議員の総選挙後、初めて国会が召集されたときや、内閣総理大臣が辞任・死亡などによって交代する必要が生じたときなどに行われます。

Q3:首班指名で衆議院と参議院の意見が違ったらどうなる?

A3:まず両院協議会を開いて意見を調整します。それでも一致しない場合は、憲法第67条第2項に基づき衆議院の議決が国会の議決となります。また、衆議院の指名後、国会休会中を除く10日以内に参議院が議決しない場合も、衆議院の議決が優先されます。

首班指名とは、日本国憲法第67条に基づき、国会が国会議員の中から内閣総理大臣を指名する手続きです。

衆議院と参議院がそれぞれ記名投票を行い、最初の投票で過半数を獲得できなければ上位2人による決選投票に進みます。

両院の指名が異なる場合には両院協議会を開き、それでも合意できなければ衆議院の議決が優先されます。

2026年2月18日には、高市早苗氏が第105代内閣総理大臣に指名されました。衆議院では354票を獲得して最初の投票で指名された一方、参議院では123票で過半数に1票届かず、決選投票で125票を獲得して指名されています。

その後、天皇による親任式や国務大臣の認証式などを経て、第2次高市内閣が発足しました。

首班指名を理解する際には、国会による指名、衆参両院の関係、天皇による任命、組閣という4つの段階を区別することが大切です。

ニュースで首班指名選挙が報じられた際には、得票数だけでなく、両院の投票結果や決選投票の有無、その後の組閣まで確認すると、日本の政治がどのような仕組みで動いているのかをより正確に理解できます。

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小野田 千尋

スポーツと舞台・イベントの話題を担当。主催者・連盟の公式発表とチケット公式ページを確認し、日時と会場は発表元の表記をそのまま使います。

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