2026年11月現在、オリンピックにロシアが完全復帰したわけではない。しかし、ロシアの選手が五輪に一切出場できない状態も変化している。2026年2月に開催されたミラノ・コルティナ冬季五輪では、ロシア国籍の選手13人が国旗・国歌を使用しない「個人中立選手(AIN)」として出場した。加えて、男子スキーモ(山岳スキー)のニキータ・フィリポフが銀メダルを獲得している。
背景にあるのは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻、国際オリンピック委員会(IOC)による制裁、ロシア五輪委員会(ROC)の資格停止、そしてスポーツ仲裁裁判所(CAS)による国際競技への参加をめぐる判断だ。一方、2026年7月にはIOCがロシア五輪委員会の資格停止を暫定解除するという大きな動きもあった。大会当時の制限と、2026年11月現在の復帰状況は分けて理解する必要がある。
【結論】2026年のオリンピックにロシアは不参加だったのか?13人がAINとして出場

最初に答えを整理すると、2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪にロシアは国別代表として参加していない。しかし、ロシア国籍の選手は13人が個人中立選手として出場した。
つまり、「ロシアが不参加」という表現は、国としての代表団や国旗を掲げた参加を指すなら正しいが、ロシア出身の選手が一人も出場していないという意味では正確ではない。
ロシア選手13人、ベラルーシ選手7人が参加IOCが公表した2026年1月29日時点の参加資格者一覧では、ロシア国籍とベラルーシ国籍の選手が、それぞれ個人中立選手として招待されている。
最終的な大会参加者は合計20人で、内訳は次のとおりだ。
| 区分 | 選手数 | 大会での参加形態 |
|---|---|---|
| ロシア | 13人 | 個人中立選手(AIN) |
| ベラルーシ | 7人 | 個人中立選手(AIN) |
| 合計 | 20人 | 国別代表ではない中立参加 |
ロシア選手は、フィギュアスケート、クロスカントリースキー、アルペンスキー、スピードスケート、リュージュ、ショートトラック、スキーモなどに出場した。
一方、アイスホッケーやカーリングなど、国別チームとして参加する競技には出場できなかった。
この仕組みは、単純にロシアという国を五輪から排除するだけではなく、国家の行動と個人選手の競技参加を切り分けようとするIOCの判断を反映している。
2026年大会に出場した主なロシア選手IOCの公表リストに記載されたロシア国籍の13選手は次のとおり。
| 競技 | 選手 |
|---|---|
| アルペンスキー | Yulia Pleshkova、Simon Efimov |
| クロスカントリースキー | Savelii Korostelev、Daria Nepryaeva |
| フィギュアスケート | Petr Gumennik、Adeliia Petrosian |
| リュージュ | Daria Olesik、Pavel Repilov |
| ショートトラック | Ivan Posashkov、Alena Krylova |
| スキーモ | Nikita Filippov |
| スピードスケート | Kseniia Korzhova、Anastasiia Semenova |
特に注目されたのは、フィギュアスケートのアデリア・ペトロシアンとピョートル・グメンニク、そしてスキーモのニキータ・フィリポフだ。
ロシアのウィンタースポーツ界を代表する競技者が含まれていたものの、彼らが出場できたのはロシア代表としてではなく、IOCの審査を通過した個人中立選手としてだった。
ロシアの国旗・国歌は使われなかったAIN選手の大会参加には、通常の国別代表とは異なるルールが設けられた。
- ロシア国旗の掲揚は禁止。
- ロシア国歌の演奏は禁止。
- ロシアを示す国別の代表資格では参加しない。
- 開会式の各国代表団の入場行進には参加しない。
- 獲得したメダルはロシアの国別メダルランキングに加算されない。
ただし、「旗も国歌も一切存在しなかった」という理解には注意が必要だ。
AINには専用の中立旗と、歌詞のない専用の中立アンセムが用意されていた。表彰式ではAINの旗が掲げられ、専用アンセムが流れる仕組みだった。
つまり、禁止されたのはロシアの国旗と国歌であり、選手が中立の立場で表彰を受けるための専用シンボルは存在していたのである。
【IOCの判断】なぜロシアはオリンピックに参加できなくなったのか?ウクライナ侵攻と制裁の経緯
ロシアの五輪参加制限を理解するには、2022年2月のウクライナ侵攻から振り返る必要がある。
IOCの対応は一度の決定で完結したものではない。国際大会への参加制限、個人中立選手制度、ロシア五輪委員会そのものへの資格停止という複数の措置が段階的に実施された。
2022年2月:ウクライナ侵攻を受けてIOCが対応2022年2月、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した。
IOCは同月、国際競技連盟や国際大会の主催者に対して、ロシアおよびベラルーシの選手・役員を国際大会に参加させないよう勧告した。
この措置は、スポーツを通じた平和というオリンピックの理念や、国際的な安全・競技環境への影響を踏まえたものだった。
ベラルーシについても、ロシアの軍事侵攻を支援する立場にあることなどから、同様の制限の対象となった。
2023年3月:個人中立選手としての参加を検討その後、IOCは選手個人の競技参加について別の方向性を示した。
2023年3月28日、IOCはロシア・ベラルーシのパスポートを持つ選手について、厳格な条件を満たす場合に限り、個人中立選手として国際大会への復帰を認めるよう各競技団体に勧告した。
この判断では、選手の国籍だけで一律に判断するのではなく、本人の行動や軍事組織との関係などが審査対象となった。
ただし、ロシアやベラルーシの国別代表としての参加が認められたわけではない。
2023年10月:ロシア五輪委員会が資格停止にさらに重要なのが、2023年10月12日のIOCによるロシア五輪委員会の資格停止処分だ。
直接の原因は、ロシア五輪委員会が10月5日、ウクライナの国内オリンピック委員会の管轄下にある地域スポーツ組織を、自らの構成員に加える決定をしたことだった。
対象となったのは次の4地域である。
- ドネツク
- ヘルソン
- ルハンシク
- ザポリージャ
IOCはこの行為について、ウクライナ国内オリンピック委員会の領土的な完全性を侵害し、オリンピック憲章に違反すると判断した。
その結果、ロシア五輪委員会は資格停止となり、国内オリンピック委員会としての活動やオリンピック・ムーブメントからの資金受領が認められなくなった。
IOCが問題視したのは侵攻だけではないここで重要なのは、ロシアに対する措置をすべて同じ理由によるものと理解しないことだ。
IOCの2022年以降の対応には、大きく分けて2つの論点があった。
1つ目は、ウクライナ侵攻に対する国際スポーツ界の対応として、ロシア・ベラルーシの選手や役員の参加を制限したこと。
2つ目は、ロシア五輪委員会がウクライナの地域スポーツ組織を自らの構成員に加えたことによる、オリンピック憲章上の問題だ。
この2つを区別すると、なぜロシア五輪委員会の資格停止が選手個人の参加資格と必ずしも一致しなかったのかが理解できる。
【AINとは?】個人中立選手の意味とIOCの参加資格審査
AINとは、フランス語の「Athlètes Individuels Neutres」を略した名称で、日本語では「個人中立選手」と訳される。
ロシアまたはベラルーシのパスポートを持つ選手が、一定の資格審査を通過し、国の代表ではない中立の立場で競技に参加するための制度だ。
AINと通常のロシア代表は何が違う?通常のオリンピックでは、選手は各国の国内オリンピック委員会を通じて代表として参加する。
しかし、AINの場合は国別代表の仕組みとは異なる。
| 比較項目 | 通常のロシア代表 | AIN |
|---|---|---|
| 参加資格 | 国別代表として選考 | 個人ごとの審査・招待 |
| 国籍 | ロシア | ロシア国籍でも参加可能 |
| 国旗 | ロシア国旗 | AIN専用旗 |
| 国歌 | ロシア国歌 | AIN専用アンセム |
| 団体競技 | 代表チームとして参加 | 参加不可 |
| メダル集計 | ロシアの国別集計 | ロシアの国別集計に含まれない |
| 参加判断 | 通常の代表選考 | IOCの資格審査と競技団体の資格条件 |
AINはロシア代表の別名ではない。国籍を維持した選手が、国の代表権を伴わずに競技する制度である。
AINERPとは何か?選手を審査する専門パネル2026年大会で重要な役割を果たしたのが、AINERP(Individual Neutral Athlete Eligibility Review Panel)だ。
これは、個人中立選手の参加資格を審査するためにIOCが設置したパネルである。
2026年大会では、次の3人が構成メンバーとなった。
- ニコル・ホーフェルツ:IOC委員、パネル議長
- パウ・ガソル:IOC倫理委員会および選手代表
- 渡辺守成:国際競技連盟代表
審査対象は選手本人だけではなく、帯同するサポートスタッフにも及ぶ。
IOCが公表した制度では、AINERPとIOC事務局に選手を招待する権限が委任されていた。
AINとして出場するための主な条件2026年大会で適用された参加条件は、パリ五輪での制度を基本的に引き継いだものだった。
1.競技で正式な出場資格を獲得すること
AINの資格があれば自動的に五輪に出場できるわけではない。各国際競技連盟の定める予選・ランキングなどの競技上の条件を満たす必要がある。
2.戦争を積極的に支持していないこと
ウクライナ侵攻を積極的に支持する選手は参加資格を得られない。
3.軍や国家安全保障機関との契約関係がないこと
ロシアまたはベラルーシの軍、国家安全保障機関と契約している選手やサポートスタッフは対象外となる。
4.反ドーピング規則を遵守すること
通常の五輪参加者と同様に、各競技団体のアンチ・ドーピング規則を守らなければならない。
5.個別招待を受け、参加条件に同意すること
IOCからの招待を受け、オリンピック憲章やスポーツを通じた平和の理念を尊重する参加条件に署名する必要がある。
重要なのは、AINERPの審査を通過することと、競技で出場枠を獲得することは別の条件だという点である。
【時系列・関係者一覧】ロシアの五輪参加制限から2026年の銀メダルまで
ロシアの五輪参加をめぐる問題は、IOC、ロシア五輪委員会、国際競技連盟、CASという複数の組織が関わる。
それぞれの役割を整理すると、制度の変化が分かりやすい。
| 時期 | 主体・関係者 | 出来事・判断 |
|---|---|---|
| 2022年2月 | IOC | ウクライナ侵攻を受け、ロシア・ベラルーシの国際大会参加制限を勧告 |
| 2023年3月 | IOC | 条件付きで個人中立選手としての参加を認める方針を提示 |
| 2023年10月5日 | ロシア五輪委員会 | ウクライナの4地域のスポーツ組織を構成員に加える決定 |
| 2023年10月12日 | IOC | ロシア五輪委員会を資格停止 |
| 2023年12月 | IOC | パリ五輪に向けたAINの厳格な参加条件を決定 |
| 2025年10月21日 | FIS | ロシア・ベラルーシのAIN選手をミラノ大会の予選に参加させない方針を決定 |
| 2025年12月2日 | CAS | IOCのAIN基準を満たす選手についてFIS予選への参加を認める判断 |
| 2025年12月11日 | CAS・FIS | AIN条件を満たすロシア選手のFIS大会参加について判断を明確化 |
| 2026年2月 | IOC・各競技団体 | ロシア13人、ベラルーシ7人がAINとして冬季五輪に出場 |
| 2026年2月19日 | ニキータ・フィリポフ | 男子スキーモ・スプリントで銀メダル獲得 |
| 2026年7月 | IOC | ロシア五輪委員会の資格停止を暫定解除 |
この年表で特に注目したいのが、2025年12月のCASの判断と、2026年7月のIOCの方針転換だ。
前者は、特定の競技団体が選手を予選から排除することの妥当性を争ったもの。後者は、ロシア五輪委員会そのものの資格停止をめぐる判断である。
同じ「ロシアの五輪復帰」に関わる出来事でも、法的な対象と影響範囲は異なっている。
【CASとFISの対立】ロシア選手の出場資格をめぐる法的な争い
2026年大会へのロシア選手の出場を考えるうえで、見逃せないのがCASとFISの対立だ。
FISは国際スキー・スノーボード連盟で、アルペンスキーやクロスカントリースキーなどの国際競技を統括している。
FISは当初、AIN選手の予選参加を認めなかった2025年10月21日、FIS理事会はロシア・ベラルーシの選手について、ミラノ・コルティナ冬季五輪の予選にAINとして参加させない方針を決めた。
IOCが個人中立選手制度を認める方向に進んでいた一方、FISは独自の判断で参加を認めない姿勢を示したのである。
これに対し、ロシアスキー協会、ベラルーシスキー連盟、両国の選手らがCASに異議を申し立てた。
2025年12月2日:CASがFISの一律排除を問題視CASは2025年12月2日、FISの決定をめぐる申し立ての一部を認めた。
CASの判断では、IOCのAIN参加条件を満たす選手については、FISの予選に参加できるようにする必要があるとされた。
その理由は、国籍だけを理由に一律排除することが、FISの規則に定められた政治的中立性や差別禁止の原則に反するという点にあった。
ただし、これはロシア選手全員の無条件復帰を意味しない。あくまでIOCのAIN資格基準を満たす選手に限られた判断だった。
12月11日の追加判断で参加範囲を明確化さらに2025年12月11日、CASはFISからの確認を受け、判断内容を修正・明確化した。
ロシア国籍の選手とサポートスタッフについて、AIN参加資格を満たす場合には、ミラノ五輪の予選だけでなく、FISが主催する大会への参加も認めるよう命じた。
この決定によって、ロシア選手が競技力によって五輪出場枠を獲得する道が開かれた。
ここで押さえておきたいのは、CASがロシアという国の五輪復帰を決めたのではなく、条件を満たす個人選手の競技参加を認める判断をしたということだ。
団体競技が認められなかった理由2026年大会のAIN制度では、ロシア・ベラルーシ国籍の選手によるチームとしての参加は認められていなかった。
例えば、次のような競技・種目では国別代表として出場することができなかった。
- アイスホッケー
- カーリング
- フィギュアスケートの団体戦
- その他の国別チームとして競う種目
個人中立選手制度は、選手一人ひとりの競技参加を認めるための仕組みであり、国家を代表するチームの復帰を認めるものではなかった。
これは、国としての参加制限を維持しながら、個人選手の競技機会を確保するという制度上の線引きだった。
【2026年の注目選手】ニキータ・フィリポフが銀メダルを獲得
2026年大会のロシア選手をめぐる話題で、特に大きな成果となったのがニキータ・フィリポフの銀メダルだ。
スキーモ男子スプリントで2位ニキータ・フィリポフは、2026年2月19日に行われた男子スキーモ・スプリントで2位に入った。
スキーモは、スキー登山をベースとする競技で、登坂や滑降などを組み合わせてタイムを競う。
男子スプリントの結果は次のとおり。
| 順位 | 選手 | 所属表示 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1位 | オリオル・カルドナ | スペイン | 2分34秒03 |
| 2位 | ニキータ・フィリポフ | AIN | 2分35秒55 |
| 3位 | ティボー・アンスルメ | フランス | 2分36秒34 |
フィリポフは、優勝したスペインのオリオル・カルドナに1秒52差で続き、銀メダルを獲得した。
この結果は、AINとして参加した選手が大会でメダルを獲得した象徴的な出来事となった。
銀メダルはロシアの国別メダル数に加算されるのか答えは、加算されない。
フィリポフのメダルは、ロシア代表として獲得したものではなく、AINとして獲得したものだ。
そのため、ロシアの国別メダルランキングには含まれない。
これは選手本人の競技成績を否定するものではない。競技結果としての銀メダルと、国別代表としてのメダル集計は、別の制度で管理されているということだ。
この区別は、AIN制度を理解するうえで非常に重要である。
【2026年11月最新】ロシア五輪委員会の資格停止は解除された?五輪復帰の見通し
2026年のロシア五輪参加問題で、最も大きな変化があったのは7月だ。
IOCは2026年7月、2023年10月から続いていたロシア五輪委員会の資格停止を暫定的に解除した。
これにより、ロシアの国際スポーツ界への復帰に向けた環境は大きく変わった。
IOCが資格停止を暫定解除した理由IOCが判断を変更した背景には、ロシア五輪委員会の構成が変わったことがある。
IOCの公式発表によると、ロシア五輪委員会は、ウクライナ国内オリンピック委員会の管轄地域にある地域スポーツ組織を構成員に含めなくなった。
また、ロシア五輪委員会は、これらの地域で活動を行わず、今後も行わないとIOCに確認した。
IOCの法務委員会による検討を経て、資格停止の暫定解除が決まった。
ただし、これはロシアに対するすべての制限が撤廃されたという意味ではない。
IOCは引き続き状況を監視し、必要に応じて追加措置を取る権利を留保している。
ロシア選手は今後、国旗と国歌を使えるのかここが2026年11月時点で最も誤解されやすいポイントだ。
ロシア五輪委員会の資格停止が暫定解除されたことと、五輪でロシアの国旗・国歌が使用できることは同じではない。
IOCの2026年7月の発表では、今後のオリンピック大会におけるロシアの国旗、国歌、国別カラーなどの扱いについては、適切な時期に判断するとされている。
つまり、資格停止の解除だけを根拠に、2028年ロサンゼルス五輪でロシアが通常の国別代表として参加できると断定することはできない。
また、国際競技連盟には独自の規則があり、IOCの勧告が変わっても、各競技で同時に同じ対応になるとは限らない。
ドーピング問題も復帰の大きな課題ロシア選手の復帰をめぐっては、ドーピング問題も重要な論点として残っている。
IOCは2026年7月の発表で、ロシア選手が国際大会に復帰する場合、アンチ・ドーピング体制を整えることを求めた。
具体的には、ロシアの国内ドーピング対策プログラムを国際検査機関ITAに委任すること、復帰する選手に対して事前に複数回の検査を実施することなどが示されている。
また、世界アンチ・ドーピング機構WADAによるロシア反ドーピング機関RUSADAの適合性も重要な判断材料になる。
つまり、ロシアの復帰には、政治的な参加条件だけでなく、競技の公正性を担保するための制度整備も必要となる。
2028年ロサンゼルス五輪への復帰はどうなる?2026年11月時点では、ロシアの全面的な国別代表復帰が確定したわけではない。
今後の判断を左右する主な要点は次の4つだ。
1. IOCの判断:五輪におけるロシア国旗・国歌の使用や国別代表の扱い。
2. 国際競技連盟の判断:各競技でロシア選手の参加を認めるかどうか。
3. ドーピング対策:RUSADAの適合性と独立した検査体制の整備。
4. ウクライナ情勢:国際スポーツ界がロシアの参加をどのように評価するか。
IOCは2026年7月、ロシア選手に関する国際競技連盟向けの従来の参加制限勧告を適用しない方針を示した一方、反ドーピング条件や五輪での国旗・国歌の判断は別に残している。
したがって、ロシアの国際大会復帰は以前より進みやすくなったものの、2028年五輪で完全に通常の代表団として復帰するかどうかは、まだ確定していない。
【よくある質問】オリンピックのロシア不参加に関するFAQ
Q1:2026年の冬季オリンピックにロシアは出場しましたか?
A1:ロシアは国別代表としては出場していません。しかし、ロシア国籍の選手13人が個人中立選手(AIN)として参加しました。ベラルーシの7人を合わせると、AINは合計20人です。
Q2:AINとは何の略ですか?
A2:フランス語の「Athlètes Individuels Neutres」の略称です。ロシアやベラルーシの国籍を持つ選手が、一定の条件を満たして国の代表ではなく個人中立選手として競技に参加する制度です。
Q3:ロシア選手は2026年大会でメダルを獲得しましたか?
A3:はい。ニキータ・フィリポフが2026年2月19日の男子スキーモ・スプリントで銀メダルを獲得しました。ただし、このメダルはロシアの国別メダル数には加算されません。
Q4:なぜロシアは国旗と国歌を使用できなかったのですか?
A4:ウクライナ侵攻後のIOCによる措置に基づくものです。2026年大会ではロシア国旗とロシア国歌の使用は禁止され、AIN専用の中立旗と専用アンセムが使用されました。
Q5:ロシア選手は団体競技にも出場できますか?
A5:2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪では、AINの参加は個人競技に限定されました。アイスホッケーやカーリングなど、ロシアの国別代表チームとしての出場は認められていませんでした。
Q6:ロシア五輪委員会の資格停止は2026年に解除されたのですか?
A6:2026年7月にIOCが資格停止を暫定解除しました。ただし、これは五輪でのロシア国旗・国歌の使用や、すべての競技団体への無条件復帰を意味するものではありません。
Q7:ロシアは2028年ロサンゼルス五輪に復帰できますか?
A7:復帰の可能性は以前より高まっていますが、2026年11月時点では全面復帰は確定していません。IOCの判断、各競技団体の規則、ドーピング対策、国際情勢などが今後の参加条件を左右します。
2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪は、ロシアのオリンピック参加問題において重要な転換点となった。
ロシアは国別代表としての出場を認められなかったものの、13人の選手が個人中立選手として競技に参加した。さらにニキータ・フィリポフが銀メダルを獲得し、AIN制度の下でも選手個人が世界最高峰の舞台で結果を残せることを示した。
一方で、IOCによるロシア五輪委員会の資格停止、団体競技の制限、国旗・国歌の使用禁止など、従来の制約が大会当時は維持されていた。
そして2026年7月、IOCはロシア五輪委員会の資格停止を暫定解除した。これによって、2028年ロサンゼルス五輪に向けたロシア選手の国際競技復帰には新たな道が開かれた。
ただし、ここで押さえておきたいのは、五輪委員会の資格停止解除、個人選手の国際大会復帰、ロシアの国別代表としての五輪復帰は、それぞれ別の問題であるという点だ。
今後のロシアの五輪参加を判断する際は、次の3点を確認すると状況を正しく把握しやすい。
- IOCが国別代表としての参加や国旗・国歌の使用を認めるか。
- 各国際競技連盟がロシア選手の出場資格をどのように判断するか。
- ドーピング対策と国際的な競技の公正性が確保されるか。
2026年11月現在、ロシアは五輪への全面復帰を果たしたわけではない。しかし、2026年大会のAIN参加と7月の資格停止解除によって、状況は確実に次の段階へ進んでいる。2028年ロサンゼルス五輪に向けて、IOCと各競技団体がどのような判断を下すのかが、今後の最大の焦点となる。
主な資料:国際オリンピック委員会(IOC)の公式発表・AIN参加者一覧・ロシア五輪委員会資格停止解除に関する発表、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の2025年12月2日付判断、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)の発表、2026年大会公式競技結果。